今年も10月8日(イレバデー)、11月8日(いい歯の日)がやってくる。「イレバデー」は、保団連が歯科医療の重要性を周知する機会として30年前に提唱した大切な日だ。
歯科医療費低迷は国の分断政策の産物である。医師の養成は官学主体だったが歯科医師は民間に委ねられた。医科・歯科格差の原点はここにある。
長年、歯科医療を公的保険に全面的に取り入れることが避けられてきた。既に一般化した「最新技術」も保険導入のテンポが遅く、全く取り入れられない技術もある。
歯科医療では、自由診療や保険診療との差額徴収まで国が認可し、日本歯科医師会も推進してきた。歯科医師と国民との分断である。
1980年代の歯科医療費抑制政策「失われた16年」を押し返そうと保団連が患者と医療者共同で取り組んだ「保険で良い入れ歯を」運動では、総義歯の点数を40%アップさせるなど成果を生み出した。
運動が医療費抑制という固い壁を崩すことができると証明した。これに対し政府は96年に「補管」を導入、長期維持管理路線の時代になった。歯科医師と歯科技工士との分断である。
国はわずかな維持管理料と引き換えに補綴物の2年間の補償を歯科医師に押し付ける。
その一方で歯科技工士は2年間その補綴物の仕事が入らず、歯科医師から値引きを求められることもある。
「補管」から始まる施設基準は歯科界を分断するまやかしの点数引き上げである。特に「か強診」はSPTやCeを一物二価にし、患者の同意さえ得られない状況を作り出した。
保団連の交渉が実を結び、今改定でSPTは一本化されるなど改善されたが、根本的解決に至っていない。
保団連が支援した歯科矯正の保険導入には党派を超えて多くの議員が注目している。7対3問題の解決は歯科技工士との分断を協同に変える。パイの奪い合いではなく歯科医療費総枠拡大が不可欠である。医科・歯科が一体となり保団連が呼び掛けている「歯科医療費総枠拡大アクションプラン」に取り組もう。