映画で考える ジェンダ―と憲法

武蔵野美術大学教授 志田陽子氏が講演

全国の取り組みも旺盛に 女性医師・歯科医師交流会

保団連の女性医師・歯科医師学習交流会が10月2日、ウェブ併用で開催された。武蔵野美術大学造形学部教授の志田陽子氏(写真)が「福祉・医療から考える女性と憲法」をテーマに講演したほか、各協会・医会の取り組みを交流した。

 志田氏は、医療や医療従事者に関わるジェンダー問題や偏見、生命倫理などについて考えさせる映画作品を紹介しながら、医療と人権、差別の禁止をめぐる憲法との関係について解説した。

欧米との映画ポスターデザインの違い

日本と欧米のジェンダー表象の違いを示すものとして、女性参政権の運動を描いた映画『未来を花束にして』のポスターが紹介された。原作は女性たちがデモで激しく訴える姿が描かれているのに対し、日本版はパステル調で家庭や社交場での姿が並ぶ。
志田氏は「女性やマイノリティーの社会参加、政治参加が進まない背景として、女性や特定民族が知的に劣っているという偏見があった。医学部をはじめ理系学部を目指す女性が少ないことにもつながっている。映画やアニメなどは、こうしたジェンダーステレオタイプを固定する力もあれば、覆す力もある」と話し、近年の作品における女性の描かれ方の変化に期待を寄せた。

岐阜協会で新たに女性部設立

協会・医会の活動交流では、コロナ禍で対面での企画が行いにくい状況のもとでも、オンラインでの海外ツアーやヨガ教室、講演会などさまざまに工夫した取り組みが報告された。自宅などから参加できる手軽さもあって、初参加の会員も増え、協会活動の広がりにつながっていることも紹介された。
新たに女性部を設立した岐阜協会からは、「部会には男性にも参加してもらっている。プレ企画としてワイン会などを開催したが、今後はジェンダー問題や女性の貧困などについて考える企画もやってみたい」と抱負が語られた。
それぞれの取り組みについて、予算や企画上の工夫など具体的な内容が共有され、今後の各地の活動につながる活発な交流が行われた。