オンライン資格確認 保団連調査で政府追求

オンライン資格確認 保団連調査で政府追求

オンライン資格確認問題で、義務化ありきの政府の姿勢について、野党各党が衆参厚生労働委員会で追及した。(1面のつづき)

導入費用の持ち出し改善を
立民・吉田議員

立憲民主党の吉田統彦衆院議員は、オンライン資格確認のシステム導入費用について「見積額で補助金上限の10倍かかるケースもある」「管理費も生じるが、診療報酬加算で償却するのに20年かかる」など医療機関が持ち出しを強いられている現状を説明。「必要最低限のシステム整備費用で補助金上限に収まるよう国が業者に通知すべき」と求めた。
厚労省の伊原和人保険局長は「これまでベンダーなどとも協議している」と釈明し、「あくまで民間契約なので国としてできる範囲は限られている」と消極的な姿勢だった。
吉田氏は、協会・医会調査結果を念頭に「義務化を機に閉院を考えるとのデータが出てきている。よく現状を見てほしい」と述べ整備対応が困難な医療現場への理解を求めた。

厚労省「トラブル把握せず」
共産・倉林議員

日本共産党の倉林明子参院議員は、オンライン資格確認の運用を開始した診療所は「1日数件の利用があるかないかだが、トラブルも少なくない」と指摘。トラブル実例として「明らかに資格があるのに無効」「機器動作が遅くなった・止まった」など保団連の実態調査(速報)を示して追及した。
伊原氏は「トラブルは網羅的に把握していない」と認め、支払基金コールセンターへの照会状況、相談件数を紹介するとともに、三師会が設置したオンライン資格確認推進協議会を通じて「現場の声を聴いている」との答弁に終始した。
倉林氏は、オンライン資格確認ができないとの理由で保険診療ができなくなることはあってはならないと追及。加藤勝信厚労大臣は、「中医協答申に沿って年末に検討する」「違反内容によっては取消事由となる。直ちに指定取消ではなく丁寧な指導を行うが、具体的には個別事案ごとに判断する」との見解を示した。

オンライン化の意味なし
国民・芳賀議員

国民民主党の芳賀道也参院議員は保団連の実態調査(速報)を示し、オンライン資格確認の運用を開始した医療機関の4割でトラブルが発生していることや、その内容で「被保険者情報が迅速に反映されない(有効な保険証でも『無効』と表示された)」が63%、「カードリーダーの不具合」が41%に上る現状について厚労省の認識を質した。
芳賀氏が「有効な保険証が無効となれば、オンライン化する意味がない。トラブルを把握しているのであれば、慎重な対応が必要だ」と指摘したのに対し、伊原氏は「保険証でも資格更新時のタイムラグがある」と開き直りの答弁に終始した。
芳賀氏は、「23年3月末の期限までに導入するのは難しい」「まずはしっかり実態調査を行い、現場の声も聞く、導入は任意に留めるべき」と柔軟な対応を求めた。伊原氏は、「『医療機関の責めに帰さない事由による場合はその経過措置が必要』という声も聞いている」として、「やむを得ない場合に取る対応」に向けて検討する方針を述べた。