技工士問題の早期解決を 「保険で良い歯科医療を」全国連絡会

技工士問題の早期解決を 「保険で良い歯科医療を」全国連絡会

「7対3告示」の徹底には歯科医療費総枠拡大が必要

 保団連も参加する「保険で良い歯科医療を」全国連絡会は10月29日、総会を東京都内で開催した。基調報告の他、歯科技工問題を考えるシンポジウムを行い、会場とウェブを合わせて全国から160人の歯科医師・歯科技工士らが参加した。歯科医療費の総枠拡大や製作技工料が適正に配分される取引ルールの確立などを求めるアピールを採択した。

 基調報告した仙台歯科技工士専門学校校長の伊藤多佳男氏は、歯科技工士を養成する専門学校の校長として、若手技工士の離職率が高くなっている現状と、その原因が過当な価格競争により生じる低賃金や長時間労働にあることを指摘した。そして、若い歯科技工士が働き続けるためには、精密な手作業に見合った対価が支払える制度が必要と訴え、今後も歯科医師などさまざまな立場の人と協力していきたいと語った。

連絡会を全国に広げよう

続いて、基調報告した保団連の宇佐美宏歯科代表は、歯科技工士たちの運動によって当時の厚生省から「7対3告示」が出されたが、直後の疑義解釈で内容が骨抜きとされた歴史的経緯を紹介。歯科技工問題の解決には、「7対3告示」が徹底されるルール作りが必要と訴え、歯科技工所に対して十分な委託技工料を支払うためには、歯科医療費の総枠拡大が不可欠と主張した。さらに、患者・国民を巻き込んだ運動が必要であり、現在全国11カ所にある「保険でよい歯科医療を」連絡会を、各地へもっと広げていこうと訴えた。

長時間労働の実態訴える

シンポジウムでは、歯科技工士と歯科医師から、それぞれの実情や運動への意気込みが語られた。
北海道勤労者歯科医療協会のふしこ歯科診療所に勤務する歯科技工士の塚田大助氏は、歯科医師・歯科衛生士との意見交換など院内技工士ならではの経験ややりがいを語り、若い歯科技工士のためにも歯科技工問題の早期解決に向けた運動推進を訴えた。
兵庫県で歯科技工所を経営する泉敏治氏は、現在の補綴物の製作技術料はあまりに安く、60代半ばに差し掛かった今でも、生活のために1日16時間の長時間労働をせざるを得ない実態を告発した。
山口県で歯科医院を開業する保団連の深井修一理事は、所属する山口協会の歯科技工問題についての記者会見を紹介。歯科技工士の長時間労働や低賃金の実態に視聴者から予想以上の反応があったことを語り、今後の運動推進のため広く情報発信をと訴えた。
参加した歯科医師からは、歯科技工士と歯科医師が共同することの重要性についての発言がされた。