【主張】コロナ・インフルの同時流行に備え医療提供体制の構築を

【主張】コロナ・インフルの同時流行に備え医療提供体制の構築を

 7月から始まった新型コロナウイルス感染拡大「第7波」はかつてない規模で、医療逼迫によって発熱外来受診「難民」や施設での感染者の留め置きが多数発生するなど、患者を適切な医療に結びつけることができず、多くの人が亡くなった。
この原因は、政府が十分な感染防止対策や医療提供体制の確保、経済的に困窮している人への救済策を取らないまま「経済最優先」の施策を続けたことにある。
このまま第8波による感染拡大が増加すれば、医療・介護をはじめ、さまざまな生活インフラが重大な危機に瀕してしまう。
政府に求められていることは国民の命と健康、暮らしを守ることだが、岸田政権は物価高騰に十分な手立てをとらず、75歳以上の窓口負担2割化、公的・公立病院の削減、オンライン資格確認義務化と保険証廃止などを推進するとともに、介護保険の大幅な負担増を計画している。
政府は、新型コロナ・インフル同時流行に向けて「タスクフォース」を設置し、対策に乗り出したが、「限りある医療資源の中でも高齢者・重症化リスクの高い人に適切な医療を提供するための保健医療体制の強化・重点化を進めていく」として医療供給体制の抜本的な拡充を行わず、「重症化リスクの高い患者・小学生以下の子どもの患者」以外は、コロナ検査キットによる自己検査と自宅療養を前提とするなど、自己責任を押し付けている。
感染症法改定でも、地域の中核病院に病床の確保、発熱外来の設置などを義務付けるが、「ハコ」を用意するのみで肝心の医療人材については全く施策がない。
保団連は10月21日に「新型コロナウイルス感染症第8波から国民の命と健康を守るための緊急要望書」を国に提出し、①ワクチン対策を含めた予防の徹底②センター方式による発熱外来の整備を格段に増やすとともに病床および職員の確保のための財政措置を行い、新型コロナ・インフル対策と通常の医療の確保を両立させること③コロナおよび後遺症の治療技術・治療体制の拡充④医師不足・看護師不足の解消⑤全ての医科・歯科医療機関の診療体制の確保のための診療報酬や財政措置の拡充をはじめとした総合的な対策の実施―を求めた。
国はこの実現に向けしっかりと財政措置を講じるべきである。