カードリーダー起動せず
無用なトラブル招く義務化は延期・撤回を
トラブルが相次いでいるオンライン資格確認について、保団連は12月1日、厚労省要請を行い、トラブルの全容把握と根本原因の解明とともに、医療現場に混乱をもたらすシステムの義務化撤回を強く求めた。(1面のつづき)
根本原因は未解明
オンライン資格確認システムで、11月11日以降にウィンドウズのアップデートを行った後、ネットワークエラーが発生し、カードリーダーが起動しない事象が発生している。保団連がトラブルの全容把握と原因究明を求めると、厚労省は「現在、パナソニック、富士通、アルメックスが製造したカードリーダーで動作不良が確認されており、暫定的措置をポータルサイト上に掲載したが、根本原因は調査中」と釈明した。3社合計で4万7千台以上のカードリーダーが医療機関等に出荷されている。
保団連は「トラブル発生から既に約3週間が経過しており、根本原因や影響範囲など全容が明らかにされない中、各医療機関やベンダーの対応も困難を極める。トラブル時の責任分界点も曖昧で、相談窓口にも電話がつながらず、不安と混乱を助長している」と指摘し、改善を求めた。
また、厚労省はオンライン資格確認専用端末のウィンドウズアップデートを強制的に停止しており、保団連は「セキュリティ対策が脆弱となる」と指摘した。
厚労省「4情報の手入力で確認を」
厚労省は今回のようなシステムトラブルや災害が発生した際は「氏名、生年月日、性別、住所の4情報の手入力でオンライン資格確認できる」と説明。これに対し保団連は「保険証なら目視で確認できるものを、全患者の4情報を打ち込むことになれば事務量が増え、現実的ではない」と批判した。
システム運用マニュアルの改定も繰り返されている。11月25日付の改定では、再診時の資格確認について、これまでは「月初での確認」など各医療機関の運用慣行を優先することも可能とされていたのが、原則「都度確認」となった。
システム整備が進み、マイナ保険証の利用者が増えれば、トラブルや混乱が拡大することは必至だ。今後も大規模なシステムトラブルが生じる恐れもある。
マニュアルの周知も十分にされていない上、システムトラブルの責任は各医療機関に押し付けられているのが現状である。