負担増で悲鳴続々―保団連「受診・生活実態調査」中間報告

「もう限界」全世代から

 保団連が実施した受診•生活実態調査(中間報告、6397 件)で、コロナ禍や物価高騰、年金引き下げなどによる生活苦と、それに追い打ちをかける窓口負担増で、経済的理由による医療機関の受診控えの広がりが明らかになった。結果をマスコミ発表し、新聞、テレビなどが報じた。

75歳以上で窓口負担が2割になった人の16・8%が「経済的理由で受診を控えたことがある」と答え、29・4%が「貯金などを取り崩した」、12・0%が「食費など生活費を削って受診」、9・0%が「検査・薬などを減らした」と回答した。保団連は調査概要をマスコミ発表し、窓口負担を元に戻すこと、後期高齢者の保険料引き上げや介護の利用料2割の対象拡大など医療・介護の負担増をしないよう改めて求めた。
昨年10月の2割化実施について、政府は「3年間の配慮措置を講じており必要な受診は妨げられない」と強弁。厚労省の審議会では、「現役世代の負担軽減のためには高齢者の負担増しかない」といった議論がされ、世代間分断が社会保障充実の大きな壁になっている。
一方で、保団連に届いたリーフアンケートには、全世代から「これ以上の負担は限界」「安心して医療にかかりたい」という声があふれている。
物価高騰や長引くコロナ禍、75歳以上の窓口2割化など、国民生活が苦しい状況下で、医療現場での患者さんの実態を発信することは非常に重要になっている。

産経、NHK松山などが報道

調査結果はマスコミでも報道された。
産経新聞は、医療機関の窓口での患者さんの状況を医科・歯科医療機関に追加取材し、調査結果と併せて記事にした。取材を受けた保団連の杉山正隆理事は「金銭的な理由で治療を中断したり、先延ばしにする患者もいる。そのために治療が大がかりになって費用も高くなるという悪循環になっている」と指摘した。神奈川協会の小柳光仁医師は「後期高齢者は支払いのために貯金を崩さないと受診できない人もいる」と現場の実態を話した。
愛媛協会では、愛媛県下の医療機関などを通じて集めた同様の調査結果(中間報告、464件)をプレスリリースし、NHK松山放送局が報じた。番組では、「軽い症状では病院にかかれない状態になっているのではないか」というコメントとともに、国や行政に支援を求めていく協会の考えが紹介された。