マイナカードの管理困難 施設管理者や利用者・家族をただ苦しめるだけ-参議院地方創生・デジタル特別委員会で審議

4月14日 参議院 地方創生及びデジタル社会の形成等に関する特別委員会

伊藤 岳参議院議員(日本共産党)

全国保険医団体連合会が健康保険証の廃止に伴う高齢者施設等への影響調査を実施し、4月12日に調査結果を公表した。42都道府県の高齢者施設・介護施設1219施設から回答が寄せられている。利用者・入所者の健康保険証を「管理している」と回答した施設は83.6%にのぼる。つまり、圧倒的多数の施設で健康保険証を管理しているのが実態だ。老健、特養施設では利用者・入所者の健康保険証を管理していると認識しているか。

 

大串正樹デジタル副大臣

管理の実態は認識している

 

伊藤 岳参議院議員(日本共産党)

保険証の廃止に伴いマイナンバーカードを申請しないといけない。その場合、施設利用者・入所者の多くは代理申請を必要とする方々だ。利用者・入所者の代理申請について「対応できる」と回答した施設は全体のわずか6.5%に過ぎなかった。このままでは要介護高齢者はカードを取得できないことになる。健康保険証の廃止は要介護高齢者などマイナンバーカードの取得に困難を伴う方や施設関係者に重大な影響を及ぼすのではないか。同連合会は記者会見で「現場では怒りが渦巻いている」と述べている。それでも健康保険証を廃止するというのか。

 

大串正樹デジタル副大臣

マイナンバーカードと健康保険証の一体化に関しては、昨年12月よりデジタル庁、厚労省、総務省で検討会を開催し、高齢者施設関係団体を含む関係者から広くヒアリングを行い、必要な対応について検討してきた。本年2月に中間とりまとめを公表した。

中間とりまとめでは、施設職員や支援団体等に申請代理交付の支援について協力要請するとした上で、それぞれの施設の本来業務に配慮したマニュアルを作成・普及することや申請とりまとめ、代理での受け取りに対する助成を行うこと等を盛り込んでいる。代理で市町村窓口に行くことが難しいというケースに対応するため、市町村が介護福祉施設に出張して受け付けるという体制整備も推進することとしている。

カード管理が困難な方がいるという指摘もあるが、施設の入所者などにも本人の過去の医療・保健情報に基づいた医療を受けていただく保障する必要があると考えている。そのため、そうした方のマイナンバーカードの管理のあり方の留意点を整理するなど施設・入所者の双方が安心してマイナンバーカードを管理できる環境づくりを推進することとしている。引き続き関係者のご意見やご要望を伺い、健康保険証との円滑な一体化を進めていく。

伊藤 岳参議院議員(日本共産党)

デジタル庁はこれまでも検討すると弁明してきた。しかし、調査で示したように「デジタル庁の方針では対応できない」と現場は訴えている。マイナンバーカードが取得できとしても圧倒的多数の施設がマイナカードの管理を迫られることになる。

利用者・入所者のマイナンバーカードの管理(暗証番号を含む)について「管理できる」と答えた施設がわずか6.0%であった。カード管理ができない理由は、「カード紛失時の責任が重い」が91.1%、「カード・暗証番号の管理が困難」が83.8%などだ。特養、老健施設ではカード管理は無理だという結果だ。これについてどのように考えているか。

 

大串正樹デジタル副大臣

マイナンバーカードの管理のあり方の留意点等を整理しながら施設・入所者双方が安心してマイナンバーカード管理できる環境づくりを推進していく。ご意見をしっかり受け止めながら円滑な一体化に向けて進めていく。

 

伊藤 岳参議院議員(日本共産党)

デジタル庁の方針対応ではできないと圧倒的な施設が訴えている。保険証の廃止は本当に医療や介護が求められる人たちが受診やケアから阻害される間違った事態になっている。

全国保険医団体連合会は、「実印と同じ機能を有するマイナンバーカードを管理することに施設側は負担を感じている。本来取得が任意だったはずのマイナンバーカードに、よりによって健康保険証を紐づけて、その健康保険証を廃止するという政策は、施設管理者や利用者・その家族をただただ苦しめるだけだ」と述べている。

この現場の声を真摯に受け止めるというのであれば、健康保険証を残すというのがまっとうな政治の判断ではないか。それとも施設や利用者・家族を苦悩に追いやるというのか。

 

大串正樹デジタル副大臣

健康保険証を廃止するのは、皆様にマイナンバーカードで受診してもらうことで患者本人の健康医療に関する多くのデータに基づきより良い医療を受けていただくことが可能になるなど、一体化には多くのメリットがある。こうしたことを踏まえて24年秋に現行の健康保険証を廃止することを予定している。

 

伊藤 岳参議院議員(日本共産党)

対応できない人もいるのだから現行の健康保険証を残すべきだ。