保険証廃止法案が衆議院本会議で採決という緊迫した情勢の中、保団連は4月27日に国会行動を開催し、お昼には「保険証廃止法案は撤回を!」国会内集会と『オンライン資格確認義務不存在確認等請求訴訟』第二次訴訟原告団結成集会を行いました。
「保険証廃止法案は撤回を!」国会内集会には、現地200人、WEB視聴含めて約600人が参加し、国会議員も12人が駆けつけました。集会の概要を紹介します
国民主権の否定と基本的人権の侵害だ
保団連・住江憲勇会長は、「そもそも健康保険証の廃止は重大な憲法違反だが、それをわずか13時間の審議で衆院特別委員会で採決された。国民主権の否定であり、基本的人権の侵害そのものだ。医療DXの真の目的は医療データの集積であり、医療・社会保障費の抑制と営利企業による利用が狙われている」と訴えました。
保険証廃止は国民皆保険制度崩壊の危機
経済ジャーナリスト・荻原博子氏は、「マイナカードは顔写真や生年月日等の個人情報が含まれるため、取得は任意だ。さらに、カードに付けられたICチップやマイナポータルは、国が認めた民間業者も利用することでき、医療、財産など様々な情報を紐付けできる。最も高値で取引される情報の一つである医療情報を、NTTデータが10万人分不正に取得する事件もあった。他にも年金情報の漏洩など『情報ダダ漏れ』の国で、情報を一元化し、権力の中枢が握ればどうなるのか」と危険性を指摘。「保険証廃止は、単に紙の保険証がマイナカードに統合されるだけではなく、日本が世界に誇る国民皆保険制度の崩壊の危機だ。少なくとも保険証廃止はやめるべき」と訴えました。
保険証廃止で医療へのアクセスが困難に
保団連・竹田智雄副会長は、3月〜4月に行った保険証廃止に伴う高齢者施設等への影響調査の結果を報告。「高齢者設の94%が『利用者・入所者のマイナンバーカードを管理できない』と答えている。保険証廃止については6割が反対し、3割の「どちらでもない」を解析すると、9割がカード申請に『対応できない』と答えている。保険証が廃止されれば、利用者・入所者の医療へのアクセスが困難を抱えることになる」と現行の保険証の存続を求めました。
マイナカードの管理は困難 介護に専念を
特別養護老人ホーム「原谷こぶしの里」・介山篤施設長は、「現在は外部の医療機関を受診する際に、職員が保険証を携行して提示している。本人は車椅子やストレッチャーで移動することが多く、顔認証が難しいので暗証番号で認証することになる。通院のたびにマイナカードと暗証番号を持ち歩くのは責任と負担が大きすぎる。また、リスクの高いカードを施設に預けるという本人の意思を確認できず、その権限もないと思う」と現場の困難な状況を訴えました。
認知症の人と家族の会・鈴木森夫代表理事は、会員から聞き取った意見を紹介。「重度認知症の親のマイナカードをつくるため、グループホームの職員に手伝ってもらいながら写真を撮影したが、背景が無地でないから却下、次は目線が正面を向いていないからと却下され、断念した」「職員には介護に力を注いでほしい。マイナカードの事務手続きに力が削がれるのは不本意」など、混乱と怒りの声が紹介されました。