衆議院本会議で保険証廃止ふくむマイナ法等「改正」案審議入り
4月14日、衆議院本会議で保険証廃止を含むマイナ法等一部改正法案が審議入りしました。本会議では河野太郎デジタル大臣より法案の趣旨が説明されたのち、立憲、維新、公明、共産の各党から質疑が行われました。
坂本祐之輔議員(立憲)の保険証廃止に関わる質疑の概要を紹介します。
保険証を全員に交付した上で、希望者はマイナカードを利用すればよい 坂本議員
坂本議員は、国民皆保険制度の下で、健康保険証の廃止は番号法、任意取得の原則に反し、マイナカードの取得を事実上強制しようとするものと指摘。デジタル化推進にあたっての「誰もが不自由なく行政とのやり取りを行える機会を得られるよう必要な措置を講ずる」等の付帯決議に抵触するのではないかと質した。
河野デジタル大臣は、マイナカードの保有を義務付けるものではないとした上で、カードによるオンライン資格確認を基本としつつ、例外的な事情によりオンライン資格確認を受けることができない状況にある方については、本人申請により資格確認書を発行するため、付帯決議に則った対応だと強弁した。
坂本議員は医療機関でのオン資システムの運用開始が7割に留まり、不具合も多く報告されていることを指摘。これを機会に廃業や閉院する医療機関もあるとして、現場の混乱にどのように対処するのかと質した。
加藤厚労大臣は、オン資義務化にあたっては、カードリーダーの無償提供や補助金、ポータルサイトによるトラブル対処法等の周知、コールセンターの設置など行っている。また、やむを得ない事情がある医療機関等には経過措置を設け、財政措置の期限も延長したと説明。引き続き医療現場に対し丁寧に周知し、確実な導入に向けた支援に取り組んでいくとした。
坂本議員はさらに、代替措置の資格確認書も申請主義であり、「無保険者」が必ず発生することを指摘。従来の保険証を存続させれば新たに別の制度をつくる必要はない。保険証を全員に交付した上で希望者はマイナカードを利用すればよいだけのことだと述べ、加藤厚労大臣に「明解な答弁を」と求めた。
加藤厚労大臣は、マイナカード利用によるメリットを丁寧に伝えるとともに、利用できない人には資格確認書の申請を勧奨するなど必要な対応を行うと述べるにとどまり、健康保険証の廃止が「無保険者」を生み出す問題や、従来の保険証の存続をと求める意見にはまったく答えなかった。
マイナカード取得、保険証との一体化の義務化を進めるべきと主張
4.14衆議院本会議・中司宏議員(維新)
4月14日の衆議院本会議で中司宏議員は、日本維新の会の姿勢として、マイナンバーの使途を拡大しフル活用を推進し、マイナンバーとすべての銀行口座の紐づけを義務化することを通じて収入と資産とを捕捉すべき、マイナンバーカードの取得義務化を早期に決断すべきと政府に求めた。
また、マイナカードは行政デジタル化の核であり、健康保険証との一体化はその試金石と主張。医療ビッグデータの活用や医療費の適正化につながるとして、「マイナカードの取得および保険証との一体化の義務化を進めるべき」とした。さらに、「マイナポータルで支払情報の登録ができれば、医療費を指定口座やクレジットカードから引き落とせるようになる。マイナ保険証に診察券の機能も付加することも検討すべき」「電子カルテをマイナンバーに連動させることに道を開かなければ意味がない。そのために電子カルテの標準化を進める必要がある」など政府与党よりも前のめりの立場から「政府は医療分野でのデジタル化のゴールはどこに据えているのか」と質問した。さらに、オンライン資格確認システムの導入義務化に対象医療機関の3割が間に合わなかったことを問題視し、「医療機関任せで全体の状況を十分に把握していなかったのではないか。今後経過措置を繰り返す事態にならないよう、進行管理の徹底を」と述べた。