750人が保険証廃止法案の撤回を 署名67万筆を提出 5.18国会内集会

 保団連は、5月18日、衆議院議員会館で「マイナカード強制やめて、健康保険証の廃止撤回」を求める集会を開催。ウェブ視聴含めて全国から750人が参加しました。集会は、マイナンバー制度反対連絡会、中央社保協、日本医労連と共催。67万6899筆の署名を国会議員などに提出しました。
冒頭挨拶した保団連の住江憲勇会長は厚労大臣が記者会見で誤登録は健保組合の事務ミスと述べたことについて、「国が利便性・メリットのみ強調し推進してきたつけがここにきて噴出しています。誤登録の発覚は氷山の一角であり、国の責任で全例総点検を要求したい」と国の姿勢を批判しました。

集会にゲスト参加した、経済ジャーナリストの荻原博子氏は、「全国の特養1万施設に63万人の要介護高齢者が入居している。保団連調査では、9割超の施設がマイナ保険証の管理困難と回答しており、医療が受けられなくなる紛失や不正利用などリスクが大きすぎる。社会的弱者のための社会保障が保険証廃止で崩壊してしまう」と危機感を示しました。
日弁連情報問題対策委員の清水勉弁護士は、「マイナカードは申請主義であり、すべての国民に発行・交付される健康保険証とは法的にも実務上も大きく異なる。一体化は間違いだ」と発言。「マイナカードは、本来、メリット・デメリットの判断ができる人が持つべきもの」と主張しました。
竹田智雄・保団連副会長は、「オン資義務化で廃院・閉院に追い込まれる医療機関が少なからずある。地域医療崩壊を加速化させている。また、保険証廃止は「無保険扱い」のとなる人を政策的に生み出すもので、被保険者(国民)に大きな不利益をもたらす」と訴え、保険証廃止の撤回を訴えました。
大阪協会の宇都宮健弘理事長は、大阪協会で行ったオンライン資格確認等に関わるアンケート調査結果を報告。オン資を運用している医療機関(143施設)の半数以上で「トラブルあり」と回答があったと紹介し、保険証廃止はあり得ないと訴えました。

障害者・家族が置き去りに

障全協事務局長の家平悟氏は、「顔写真の背後に車イスのヘッドレストが写っていたことが理由でマイナカード申請を却下された。全盲で病気のため黒目がない人でも、黒目が写っていないので撮り直しさせられた」とマイナカード取得すら困難な実態を告発しました。その上で「誰がどのようにサポートしてくれるのか等、何も明らかにされていない中で健康保険証廃止が決まれば、障害者と家族が置き去りにされていく。誰一人こぼれ落ちる人がいないようにするために健康保険証は存続して欲しい」と強く訴えました。
この他、自治体関係者、介護労働者、中小業者が健康保険証廃止による現場の困難を報告しました。

<関連報道>
m3.com(5月18日)
「マイナンバーカード強制をやめて 健康保険証廃止は撤回を!」保団連が衆院会館で院内集会、67万6899筆の反対署名を提出

朝日新聞デジタル(5月18日)
マイナ保険証に反対署名67万筆 トラブル続出「メリットどころか」

東京新聞(5月18日)
「顔写真の不備」でマイナカード申請を却下された…障害者団体が健康保険証廃止に反対

東洋経済オンライン(5月20日)

「マイナ保険証」トラブル続発が示すポンコツ実態別人情報「ひも付け」など法案成立前に問題噴出

読売新聞(埼玉版)5月20日
マイナ保険証 開業医7割トラブル