2023年7月25日
マイナ保険証で本来の窓口負担割合が表示されない!
少なくとも17都府県で発覚
全容把握と根本原因の解明、再発防止を強く求めます
全国保険医団体連合会
会長 住江憲勇
マイナ保険証、オンライン資格確認を巡るトラブルは留まるところを知りません。千葉市内のクリニックに通う患者さんの事例では、健康保険証の券面に表示された窓口負担割合(3割)が正しいのに、マイナ保険証(オンライン資格確認)では2割と表示されました。本トラブルについて千葉市長が7月13日記者会見で「担当職員のシステム登録のミスによるもの」、「再発防止に努める」と謝罪しましたが、「他の事例も調べて今は是正している」と強調しました。
しかし、千葉県保険医協会が7月20日に公表した調査では少なくとも50医療機関で健康保険証の券面とオンライン資格確認システム上のデータ表示が異なる事例を経験しています。医科医療機関の実に16%にあたり、患者数だと膨大な数になります。
75歳以上医療費窓口2割化により「令和4年10月から窓口負担割合が2割となった後期高齢者のほとんどが、マイナ保険証だと1割になる」という事例も報告されています。単なる職員のミスでは説明がつきません。制度の根幹に関わる部分で瑕疵が生じているとの疑念を抱かざるを得ません。
保団連が実施したマイナトラブル調査(10026医療機関より回答、6月19日集計)では、少なくとも17都府県で健康保険証の券面と異なる窓口負担割合が表示された事例が報告されています。窓口負担の過不足徴収による患者と医療機関のトラブル・事務手間も生じています。今後、全国的な調査を予定しますが、千葉県保険医協会の調査と同様に多くの医療機関で窓口負担割合の相違が確認されることは容易に想像できます。
この間のマスコミ報道等で、市町村国保を運営する市町村職員の体制やシステムの仕様の問題も指摘されています。年齢だけでなく70歳以上の世帯所得の概念を導入するなど立て続けに制度を改悪し、複雑怪奇な仕組みにしたことも背景にあると指摘せざるをえません。
いずれにしても、市町村国保、後期高齢者医療保険広域連合で全容把握と原因解明、再発防止策が構築されないまま、システム運用を続けることは、新たなトラブルを生み出しかねません。千葉県保険医協会調査でも91%が健康保険証を残す必要があると回答しています。健康保険証を残すことこそが最大のトラブル解消策です。オンライン資格確認システムを一旦停止し、患者・国民に健康保険証の持参を広く呼び掛けることを強く求めます。