厚労省は、9月7日、医療保険者向け中間サーバーに登録済みのデータ(1億6000万件)をJ-LISが保有する住民記録データとの突合を行う方針を示しました。
突合は漢字氏名、カナ氏名、性別、生年月日、住所の5情報です。住民記録と医療保険の情報で既に判明している不一致項目について解説します。
住所不一致問題、住所登録は必須ではない
市町村国保は市町村の基幹システムのデータを元に被保険者情報をサーバー(医療保険者向け中間サーバー)に登録しています。住所表記は市町村によってまちまちです。いわゆる住所表記の揺らぎです。
また、被用者保険は事業主が申請した資格取得申請書を元に各保険者が医療保険者等向け中間サーバーに登録しています。中間サーバーとオンライン資格確認システムのサーバーが連動しています。各保険組合によって通信先住所や変更履歴が反映されていない住所登録もあり、住民票住所と異なるケースは多々あります。そもそも、医療保険者向け中間サーバーの登録マニュアルでは各保険組合に住所登録を「必須」 としていません。
<第二弾マイナトラブル調査の事例から>
宮城県 | 石巻市 | 医科 | ・保険が失効していると出る・住所が出ない |
秋田県 | 能代市 | 医科 | 住所の漢字間違い等あり全てにおいて信用出来ない。 |
秋田県 | – | 歯科 | 秋田県の住所だが岐阜県の住所表示になり市役所に問い合わせても市もわからずショウイチなど小文字が大文字で表示になるためレセコンでショウイチで検索するとでてこない |
福島県 | 福島市飯坂町 | 医科 | 現住所が本籍地になっていた |
福島県 | 福島 | 医科 | 全く違う住所が登録されていた。手続き後に新しい保険番号が反映されていなかった。 |
福島県 | 須賀川市 | 医科 | 2つ前の住所が表示された |
福島県 | 相馬市 | 医科 | ・住所がちがう、・患者様が顔認証、暗証番号認証をしようとしてもエラーになる(他医ではエラーにならなかったと)・間違いなく保険証の情報と合っているのに該当情報なし、該当資格なしと表示される。 |
茨城県 | ひたちなか市 | 医科 | 住所が違う、データがなく資格なしになってしまう、負担割合が前のまま |
東京都 | 多摩市 | 医科 | 共済は住所が登録されていない。住所が何年も前に引越した所が表示された。 |
漢字氏名の不一致
マイナカード券面に記載された漢字氏名は住民票の表記であり、「髙橋」、「斎藤」「𠮷田」 などいわゆる外字が含まれています。外字も多く含まれており、医療機関のレセプトコンピュータで文字コードの対応していない場合が多く、「黒丸」、「赤丸」で情報が表示されるケースが散見されている。
市町村国保や後期高齢者医療保険広域連合では、住民記録の外字データをそのまま中間サーバーに取り込んでいるため、●表記は今後とも避けられません。総点検でも多数の外字/●文字での突合が困難となることが予想されます。
<第二弾マイナトラブル調査の事例から>
岩手県 | 盛岡市 | 医科 | ・旧住所が登録になっている・氏名の漢字が黒丸(●)で表示され、正しい氏名がわからない。 |
宮城県 | 登米市 | 医科 | 本人が申告した読み仮名と表示されたデータがちがっていた。名前や住所の表示が■や●になっている文字がある。 |
宮城県 | 七ヶ浜町 | 医科 | 読み仮名や住所ちがい、データない。 |
福島県 | 福島市 | 医科 | 住所の漢字、間違い髙・齋など、認識できない漢字は黒丸(●)になって表示される雷が酷かった時一時的だが、オンラインが通信できなかった |
茨城県 | 日立市 | 医科 | データがない、旧姓のままのときがあった。 |
茨城県 | 石岡市 | 医科 | 読み仮名が本人の申告と違う、外国人のデーターがない。 |
茨城県 | つくば市 | 医科 | 旧漢字が表示されない。住所が違う。負担割合が年齢からあり得ない負担割合の表示 |
埼玉県 | – | 医科 | 保険者によって住所表記がまちまちで、数字の半角・全角も統一されておらず場合によっては文字化けする |
埼玉県 | – | 医科 | 住んでもいない住所が記録されていた。 |
埼玉県 | – | 医科 | 氏名読み仮名”ヅ”と”ズ”の登録が違う等、大・小のヨ |
代替文字もバラバラ
各保険組合が医療機関等向け中間サーバーに被保険者の漢字氏名を登録する際に、「斎藤」「斉藤」など 49 種類がある漢字氏名の場合、代替文字に置き換えて登録している。 代替文字の設定は、各保険組合によりバラバラです。そのため、漢字氏名の突合も困難となることが予想されます。
カナ氏名も揺らぎ
仙台の医療機関で新たにカナ氏名の誤登録が報告されています。中間サーバーへの被保険者情報を登録する際に漢字氏名のカナ変換ミスが原因と思われていましたが、漢字表記が「智美」でカナ表記が「サトミ」と「トモミ」と複数の読みかなが存在します。
例示として「東海林」さんは「しょうじ」、「とうかいりん」さんのどちらもあります。沖縄など地方によってはカナ氏名の読み方が漢字氏名だけで判別できないケースがあります。カナ氏名も券面表記されるので、医療保険者で勝手に訂正・変更できない。
<第二弾マイナトラブル調査の事例から>
東京都 | 東久留米市 | 医科 | 読み仮名が違う、住所のハイフンが「?」で表示される。 |
東京都 | 品川区 | 医科 | 住所ある!!”づ”と”ず”の違い。外国人の名前はほぼ、カタカナ、英語等、差異がある。 |
東京都 | 八王子市 | 医科 | 住所の表示間違い(例)1-2-3ハイフンが?になっている事が多い、資格なしと表示される子供に多い |
東京都 | 千代田区 | 医科 | 登録済みの情報と少し違うだけで赤字になる。例3-24→3丁目24番など読み仮名のブレ:例、ショウ→シヨウ、住所:例東京都千代田区→東京都千代田区/該当資格なし。 |
7月11日 東日本放送「マイナ保険証をめぐる混乱 医療現場から戸惑いの声も」
https://www.khb-tv.co.jp/news/14954052
「ストウとスドウ。それからヤマサキとヤマザキ、アガツマとワガツマ、アベとアンベなんていうところが、かなりの確率で違ってる。読み仮名はサトミが正しいのに、マイナ保険証のデータはトモミに」
「住民記録」の●問題
茨城の「茨」が外字のためJ-LIS照会の住所検索で茨城を検索するとエラーになります。例えば水戸市で住所検索すると「●城」と表記され、「宮城」と「茨城」の判別がつきません。千葉県松戸市の「松」、埼玉県八潮市の「八」も●になります。
群馬県 | 伊勢崎市 | 歯科 | 保険証はあるのに資格なしと表示される。氏名が●●●子というのがあった。旧字体が表示され●ケース |
東京都 | 町田市 | 医科 | 旧字が“●”と表示される、“髙”など一般的な字すら表示されず困る |
厚労省は、9月7日、医療保険者向け中間サーバーに登録済みのデータ(1億6000万件)をJ-LISが保有する住民記録データとの突合を行う方針を示しました。
突合は漢字氏名、カナ氏名、性別、生年月日、住所の5情報です。住民記録と医療保険の情報で既に判明している不一致項目について解説します。
住所不一致問題、住所登録は必須ではない
市町村国保は市町村の基幹システムのデータを元に被保険者情報をサーバー(医療機関向 け中間サーバー)に登録している。住所表記は市町村によってまちまちである。いわゆる住所表記の揺らぎ。
また、被用者保険は事業主が申請した資格取得申請書を元に各保険者が医療保険者等向け中間サーバーに登録している。中間サーバーとオンライン資格確認システムのサーバーが連動している。各保険組合によって通信先住所や変更履歴が反映されていない住所登録もあり、住民票住所と異なるケースは多々ある。そもそも、医療機関向け中間サーバーの登録マニュアルでは各保険組合に住所登録を「必須」 としていない。つまり、データベース上に住所が存在しない被保険者も存在するため、医療機関でいくら検索しても出てこない。
漢字氏名の不一致
マイナカード券面に記載された漢字氏名は住民票の表記であり、「髙橋」、「斎藤」「𠮷田」 などいわゆる外字が含まれている。外字も多く含まれており、医療機関のレセプトコンピュータで文字コードの対応していない場合が多く、「黒丸」、「赤丸」で情報が表示されるケースが散見されている。
市町村国保や後期高齢者医療保険広域連合では、住民記録の外字データをそのまま中間サーバーに取り込んでいるため、●表記は今後とも避けられない。総点検でも多数の外字/●文字での突合が困難となることが予想される。各保険組合が医療機関等向け中間サーバーに被保険者の漢字氏名を登録する際に、「斎藤」「斉藤」など 49 種類がある漢字氏名の場合、代替文字に置き換えて登録している。 代替文字の設定は、各保険組合によりバラバラである。そのため、漢字氏名の突合も困難となることが予想される。
カナ氏名も揺らぎ
漢字氏名、住所での検索が機能しないため、カナ氏名・性別・生年月日の3情報で検索することが考えられる。カナ氏名などで検索した場合、同姓同名の候補者が多く検索されてしまい、取違など別の 問題が発生する。
仙台の医療機関で新たにカナ氏名の誤登録が報告されている。中間サーバーへの被保険者情報を登録する際に漢字氏名のカナ変換ミスが原因か?と思いきや漢字表記が「智美」でカナ表記が「サトミ」と「トモミ」と複数の読みかなが存在する。
例)東海林は「しょうじ」、「とうかいりん」 地方によっては漢字氏名だけでなんと読むかわからないケースがある。カナ氏名も券面表記されるので、医療保険者で勝手に訂正・変更できない。
7月11日 東日本放送「マイナ保険証をめぐる混乱 医療現場から戸惑いの声も」
https://www.khb-tv.co.jp/news/14954052
「ストウとスドウ。それからヤマサキとヤマザキ、アガツマとワガツマ、アベとアンベなんていうところが、かなりの確率で違ってる。読み仮名はサトミが正しいのに、マイナ保険証のデータはトモミに」
「住民記録」の●問題
茨城の「茨」が外字のためJ-LIS照会の住所検索で茨城を検索するとエラーになる。例えば水戸市で住所検索すると「●城」と表記され、「宮城」と「茨城」の判別がつかない。千葉県松戸市の「松」、埼玉県八潮市の「八」も●になる。
医療保険の●問題
文字コードなど規格、外字の取り込み方の違い。外字の代替文字への変換と中間サーバーへの登録は各保険者の裁量となっているため、不揃いが発生している。
71万件+23万件の未登録問題
任意提出のマイナンバーが事業所に提出されない等の理由により保険者が当該被保険者のマイナンバーを含む被保険者情報を中間サーバーに登録できない。厚労省調査で77万件 →9月7日に71万件に修正された。岸田首相は11月末までに解消すると宣言したが、マイナンバー提出が任意であるため解決は困難
さらに自衛官23万人は全員が未登録。システム整備が間に合っていないため、現時点の正確な未登録者は71万人+23万人=94万人である。厚労省は自衛官診療証の中間サーバーへの未登録問題は把握しているが、調査対象外とし公表していない。