内閣総理大臣 岸田 文雄 様
財 務 大臣 鈴木 俊一 様
厚生労働大臣 加藤 勝信 様
介護報酬の大幅引き上げ・改善を求める要望書
2023年9月11日
全国保険医団体連合会
会長 住江 憲勇
要支援・要介護状態となった高齢者の尊厳を保持しながら、感染対策に留意しつつ福祉・保健・医療サービスに携わる介護従事者は、国民の命と暮らしを支える重要な職種である。しかし、介護従事者の労働の評価であり、利用者が受ける介護サービスの質・量・範囲を定める介護報酬は、2000年の介護保険制度発足時から低く抑え続けられてきた。この結果、介護職員の平均月収(316,610円)は全産業(391,408円)に比べて月8万円も低い(令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果、2021年6月度「定期賃金調査結果」)。介護従事者の大幅賃上げ・労働環境の改善はまったなしの課題だが、今年2月に厚生労働省が公表した「介護事業経営概況調査」によると、前回の介護報酬改定が実施された2021年度の介護事業所の利益率は平均3.0%で、改定の前年度より0.9ポイントも悪化。東京商工リサーチが1月に公表した「老人福祉・介護事業」の倒産件数は過去最多の143件で前年比75.6%増(全産業は前年比6.6%増)、8割が従業員10人未満の小規模事業者だ。倒産の原因は、介護報酬の抑制と人材不足、コロナ禍、物価高である。介護分野は、公定価格である介護報酬が収益の中心である。介護報酬の大幅引き上げなくしては、事業所を存続させ、介護従事者の労働環境を改善し、人材確保を行うことは困難である。国民が必要な介護を受けられるよう、報酬改定にあたって下記の実現を強く要望する。
記