19年6月段階で厚労省はマイナトラブルを認識していた!?

「マイナンバー紐づけ間違いによる他人の医療情報が閲覧できた」「マイナ保険証で資格無効・該当なしとなり一旦10割負担を払わされた」「保険証は有効だがマイナ保険証で無効と表示された」「保険証はあるのにデータが未登録となり無保険扱いとなった」「健康保険証とマイナ保険証で負担割合が異なり、返戻が生じた」「漢字氏名が●と表記される」などマイナ保険証によるトラブルは解決の見通しが立ちません。運用開始当初はトラブルはつきものと言われる方もいますが、マイナ保険証の利用率は5%程度で相次ぐトラブルでマイナ保険証の利用率も減少傾向にあります。

 

誤登録次々発生するマイナトラブル。「トラブルを解決してから提案するのが筋ではないか?」「厚労省はいつの時点で把握していたのか?」という疑問が出されています。

厚労省は、3月中旬に健康保険証の廃止を含むマイナンバー法等の関連法案を国会に提案しましたが、それよりもっと早い段階でマイナトラブルは予見していました。19年6月時点で厚労省保険局はオンライン資格確認等システムに関する運用等の整理案(概要)課題を整理しています。
担当課は医療介護連携政策課保険データ企画室です。

オンライン資格確認等システムに関する運用等の整理案(概要)(令和元年6月版)

 

資料のポイント

当時整理された課題は、28項目に及びました。(参照p8)p24から課題への対応が記載されてます。

 

「資格情報の登録遅れ」への対応案①(当面の対応) 参照p24

 

① 事業主がマイナンバーの業務を外部委託しているケースなどで、加入者情報の中間サーバーへの登録が遅れる場合には、医療機関・薬局の窓口では、患者のマイナンバーカードによりオンライン資格確認しても正しい資格情報を照会できないので、タイムラグ期間は、新保険者が発行する保険証により資格確認を行う整理としたい。
➁ ①の場合、医療機関・薬局では、新保険者の保険証によりオンライン資格確認しても、資格情報が未登録のため、新保険者の資格情報を照会できない。この場合でも、医療機関・薬局は、患者が提出した新保険者の保険証に基づき、レセプト請求を行う。

保険者から中間サーバーへの資格情報の登録及び医療機関・薬局への提供項目(p26)

中間サーバーへ各医療保険者が登録した情報の項目です。住所・郵便番号などは任意(p27)とされています。負担割合関係が記載(p31)されています。

 

「QRコードによる被保険者番号の読み取り」が検討されていた? p45

マイナ保険証ではなく保険証にQRコードをつけて被保険者番号を読み取る案が検討されていたようです。コスト面や将来のマイナカード移行を阻害するため採用されませんでした。19年当時から政府はマイナ保険証ありきで政策を進めていました。

マイナンバーカード、保険証のオンライン資格確認のルール p46

月1回ルールがその都度、顔認証付きカードリーダーで資格確認に変わることで医療機関の受付が渋滞になりそうです。当時の検討されてましたが、なぜかその都度になりました。

レセコンで管理している資格情報の更新の仕組み(イメージ)p48

レセコンにオンライン資格確認システムの情報を読み込むフローです。

ケース6:システム障害(サーバー、ネットワーク等)によるサービス停止、カードリーダーの故障 p55

 

レセプト振替・分割の考え方(案)p62

②紙レセプトについては、振替・分割の対象外とする。
③公費負担レセプトは、オンライン資格確認システムで当該資格情報が管理されていないため、振替・分割の対象外とする。
④高額療養費が発生するレセプトは、保険者が変更すると限度額も変更になる可能性があること、また、分割した際には支払い済みの患者負担額の調整が必要となること等より振替・分割の対象外とする。

(解説)

紙レセプトは数%なので9割超の医療機関はレセプト振替・調整機能を利用できており。すでに返戻は激減しています。マイナ保険証導入とは一切関係ありません。なお、公費請求はデータが中間サーバーにないため対象外となります。

 

オンライン資格確認を実施していない場合の振替までのフロー案  p65

○医療機関・薬局のシステム導入のイメージ p72~p74

オンライン資格確認システムと既存の院内システムのとの関係図です。レセコンでオン資サーバーからデータを読み込むために改修必要がかかります。トラブル多発の原因か? 顔認証付きカードリーダーありきですがICチップを読み取るだけなので汎用性カードリーダーでも何の問題もありませんでした。

 

○被保険者記号番号の外字等への対応 p75

(現状)
• 現在発⾏している被保険者証の記号に外字を使⽤している保険者は、⼀部の市町村国保を除いては存在していないと認識している。一方、記号番号に「ー(ハイフン)」、「・(中点)」、「難しい漢字」等を使⽤している保険者が多数⾒受けられる。

(対応案)
• 「外字」については次の証更新時において、外字を使⽤しない証を発⾏していただく等の対応をしていただくことを検討
• 「ー(ハイフン)」、「・(中点)」 、「難しい漢字」等のゆらぎについては一定の記号に置換して突合すること等を検討
• 上記の置換ルールに合わない記号については、個人単位化の2桁(枝番)を追加した証を発⾏する時期に併せ、被保険者証の記号番号に数字以外の「文字」等を使用しない対応をしていただくことを個別保険者と協議することを検討

○医療費情報の抽出のタイミング p88

レセプト情報につき、医療情報のオン資閲覧は3~4週間後になりました。

○薬剤情報・特定健診情報の照会・登録の仕組み(イメージ)p100

データを取り込むために電子カルテの改修が必要