義務化対象の2割が「廃業せざるを得ない」と回答
保団連は6月13日~7月21日に、厚労省が示したオンライン請求に義務化対象施設を含めて会員医療機関に調査を実施しました。10月末に改正される請求命令において、義務化対象となる施設1612施設(医科796、歯科816)から回答がありました。『義務化』されると廃業せざるを得ないと回答した医療機関は、医科が162施設、歯科が156施設となります。廃業率は医科が20.4%、歯科が19.1%となりました。
5万6380医療機関が義務化の影響
義務化の対象となる医療施設は、支払基金が公表している統計(2023年6月末)では、歯科医療機関が 35,574医療機関 、医科診療所で13,220医療機関となります。また、紙レセプトによる保険請求を行う医療機関(医科診療所 2,480医療機関、歯科医療機関5,106医療機関)も条件が厳しくなり満たさないと紙レセプトによる保険請求はできなくなります。つまり、56380医療機関が義務化の影響を受けることになります。
医科診療所 義務化で廃業せざるを得ないが3140施設(保団連推計)
義務化対象となる医科診療所は、15700施設です。内訳は電子媒体(光ディスク)請求 は 13,220施設(15.3%)、紙レセプト請求は 2,480施設(2.9%)。保団連で調査で廃業せざるを得ないと答えた率(廃業率)を掛けると医科診療所3140施設(15700×20%)で「廃業せざるを得ない」状況に追い込まれていることになります。コロナ禍での患者減や物価高騰など様々な要因で経営困難を抱えており、経営逼迫はなお続いています。回答した24都道府県すべてで義務化で廃業が確認されていることから地域性を問わず困難を抱えていることになります。
<集計結果>
全体の回答数(請求方法別、医科・歯科別)
医科 | 歯科 | |
① 電子媒体請求 | 687(※1) | 657 |
② レセコン紙請求 | 54(※2) | 40 |
③ 手書き | 55(※3) | 119 |
④ 義務化対象施設(※4) | 796 | 816 |
※1医科無床診(635)+医科有床診(43)+病院(9)
※2医科無床診(49)+医科有床診(4)+病院(1)
※3医科無床診(49)+医科有床診(5)+病院(1)
※4 オン請求義務化省令改正の対象となる施設で①+②+③の合計数
「義務化で廃業せざるを得ない」回答数(医科・歯科別)
医科 | 歯科 | |
162(※) | 156 |
※医科無床診療所(151)+医科有床診療所(10)病院(1)
※無回答 1
廃業率(医科・歯科別)
医科 | 歯科 | |
20.4% | 19.1% |
【基礎データ】
<医療機関区分別の「廃業せざるを得ない」(医療機関区分別)>
医科無床診療所 151件
医科有床診療所 10件
歯科診療所 156件
病院 1件
<回答数(請求区分別)>
電子媒体請求
医科無床診療所 635 件 (47%)
医科有床診療所 43 件 (3.2%)
歯科診療所 657 件 (48.6%)
病院 9 件 ( 0.7%)
無回答 7件 (0.5%)
合計 1351件
レセコンで紙請求
医科無床診療所 49件( 51%)
医科有床診療所 4 件 (4.2%)
歯科診療所 40件 (41.7%)
病院 1 件 ( 1%)
無回答 2件 (2.1%)
合計 96
手書き請求
医科無床診療所 49件( 28.2%)
医科有床診療所 5件 (2.9%)
歯科診療所 119件(68.4%)
病院 1 件( 0.6%)
無回答 0件 0%
合計 174件