厚労省は10月1日段階で4669医療機関がオンライン資格確認義務化の猶予措置の適用を受けていることを公表しました。
オン資システム整備中による猶予が期限が9月末でしたが間に合わない医療機関が454件もありました。厚労省は、22年9月に療養担当規則の改正し、ほぼすべての医療機関に対して23年3月末までにオンライン資格確認のシステム整備ができないと「保険医療機関の停止の措置もありうる」と脅した上で義務化を推進してきました。システム整備の遅れによる猶予措置が9月末までとされており、間に合わなかった454件の医療機関は本来であれば療養担当規則に反することになります。
不備だらけのシステム整備を義務付けるのは論外
わずか半年のシステム整備義務化のスケジュールで間に合わないとことが明らかとなり23年3月末期限を9月末までに猶予する対応を22年12月末に示しました。ところが、猶予申請の期限が23年2月末とタイトなスケジュールとなり、届出に必要なベンダーの相見積もりが取れない、回線工事が間に合わないなど大混乱が生じました。療養担当規則の運用を勝手に緩めていることは行政の裁量を逸脱するものですが、そもそも出来ないことや、不備だらけのシステムを医療界に強要してきたことに対して何ら反省がありません。3月末までにシステム整備による猶予を申請した医療機関数がどれくらいだったのか。この間システム整備がどれくらいのペースで進められてきたのか実態の公表すべきです。
回線整備困難が最大件数
建物事情等により専用回線の敷設が困難な医療機関が1458件となりました。オンライン資格確認に接続可能な光回線ネットワークは、テナント開業の医療機関の場合、建物所有者が光回線の敷設工事等を許可しない場合や建物内の医療機関所在スペースまで回線敷設が物理的・経済的に困難な場合、自身が所有する建物等でも施設の老朽化等で回線敷設工事に多額の資金を要する場合など様々な困難ケースが存在します。
「高齢」かつ「レセプト件数少」による猶予
厚労省は、「その他特に困難な事情」の目安として常勤医師等が高齢であって、月平均レセプト件数が 50件以下である場合とし、「高齢」の定義について「一般に70 歳以上であれば高齢と判断する。65歳から 69 歳は医療機関等の状況等を踏まえて個別に判断する」との考えを示しました。レセプト件数の取り扱いが少ない医療機関について、厚労省が提示した資料では、月平均約 50 件以下(1日のレセプト件数が2~3件)の対象医療機関数は、全体の 4.5%(医科で 3.4%、歯科で 7.5%、調剤で 3.2%)と極めて限定的なものでした。実際の猶予適用にあたり柔軟な対応が図られたか情報公開が求められます。
数年後の閉院・廃院の計画も受付を
24年秋までに休止・廃止を計画している医療機関が968件となりました。あらかじめ休止・廃止の計画を持つことは困難でし。さらに政府が保険証廃止を目指す方針を示した段階で「24年秋」と期間が限定される形で猶予措置の基準が限定された経緯があります。「数年後に閉院・廃院を予定」していたが24年秋と限定されたため猶予申請できなかった医療機関も数多くいます。オン資義務化に対応できず閉院を余儀なくされる医療機関はもっと広範囲に及ぶことが推察されます。
その他困難な事情
「その他特に困難な事情」による猶予が受理された医療機関は1100件に上りました。申請したものの認められなかったケースもあります。困難な事情を抱え猶予申請した医療機関の件数を明らかにすべきです。