診療報酬改定 「かかりつけ医機能」梃子に外来医療の診療報酬点数に 大きく切り込む提案

 厚労省は11月10日の中医協で外来医療全般に係る論点を提示。地域包括診療加算などの体制評価の点数や生活習慣病管理料、特定疾患療養管理料の整理など外来医療の診療報酬点数に大きく切り込む内容を提起した。

健保連 ―外来管理加算廃止を提案

厚労省は、再診患者の多くで外来管理加算や特定疾患療養管理料が算定されている一方で地域包括診療料、地域包括診療加算、生活習慣病管理料の算定が極めて少ない実態を報告。かかりつけ医機能をどの診療報酬項目で評価すべきか議論された。

議論では、支払側委員が「特定疾患療養管理料と外来管理加算、地域包括診療加算」、「生活習慣病管理料と外来管理加算、特定疾患処方管理加算」が併算定されている点について、「外来管理加算の算定要件は基準が非常に曖昧だ。評価の妥当性に非常に疑問」「計画的な管理を評価する特定疾患療養管理料、生活習慣病管理料、地域包括診療加算が併算定できる構造は、保険者や、患者にとって理解しがたい」とし、廃止を強く主張した。
対して診療側委員は「体制評価の点数と疾患個別の点数を同一視して、併算定自体が問題との資料が出されているが、これまでの経緯、運用をあえて無視し何を整理するというのか、全く理解できない」と猛反発。診療側と支払側が全面的に対立する構図となった。

特疾患管理料の計画書作成義務化か

厚労省は、▽生活習慣病管理料は療養計画書の作成と計画書を用いた患者への説明が求められている一方、特定疾患療養管理料では当該計画書の作成は要件化されていない点▽特定疾患療養管理料算定医療機関は、機能強化加算や地域包括診療料・加算届出医療機関より「かかりつけ医」機能を果たしている割合が低い点などを報告した。
診療側委員は特定疾患療養管理料は、「特定の疾患に対する医師の診療行為そのものを評価したものであり、機能強化加算などのように、時間外対応等の機能を有する体制整備を評価する点数ではない」「点数の歴史や意味を踏まえない、成り立ちや意味を無視した論立て」だと批判した。
支払側は「計画的な療養上の管理を評価する位置づけになっているが算定要件では計画書を用いた患者への説明は求められていない。そのため、生活習慣病管理料に比べて、専門的な管理が適切に行われるかという懸念がある」と述べ、要件整理を要求した。

介護担当者会議の参加義務化も

厚労省は「地域包括診療料・加算の届出のある施設でサービス担当者会議の参加割合は5割強に留まる」「点数設定当初より介護保険との連携も視野に入れた点数になっている」と提起。これに対し、診療側委員は、「現場でさまざまな取り組みがある中、ことさら、サービス担当者会議のみに着目して、かかりつけ医機能が不足しているとか、かかりつけ医機能を強化するという議論をすることには違和感がある」と慎重な検討を求めた。

外来医療の適正な評価を

地域の医療機関が面で連携しながら地域医療を支えている。外来管理加算の廃止や、外来かかりつけ関連点数に係る要件強化や形式上の連携強化ではなく、地域の実態を踏まえた支援策充実が必要だ。