【#保険証廃止勝手に決めるな】加藤前厚労大臣もトラブル防止のため「念のため保険証持参」を呼び掛けていた

12月22日の閣議後の会見で、河野太郎デジタル大臣は「医療機関を受診された際に、紙の保険証を持ってきてほしいと言われて、マイナ保険証が利用できなかったとの問い合わせが確認されている」とした上で、「マイナ保険証は一部の例外を除いて全ての医療機関と薬局でカードリーダーを設置し、マイナ保険証を受け付けることが義務化されている。利用できなかった場合には、マイナンバー総合フリーダイヤル(0120-95-0178)にご連絡をいただきたい。厚生労働省に情報提供し、事実関係を確認することになる」と述べました。

さらに、12月22日の夕方に河野太郎大臣が自身のX(旧Twitter)に「一部の例外を除き、医療機関と薬局においてマイナ保険証を受け付けることが義務化されています。医療機関などでマイナ保険証が利用できなかった場合には、マイナンバー総合フリーダイヤル(0120-95-0178)にご連絡ください。厚生労働省から事実関係を確認します。」と投稿しました。

河野デジタル大臣 「保険証持参呼び掛け」を義務違反と決めつけ

マイナ保険証で資格無効となるなどトラブルが頻発しているため、医療機関側は保険証の持参や提示を求めています。それを不当な行為のように描き、国民に国への通報を促すことは問題です。さらに、監督官庁である厚労省に事実関係を確認させ、当該医療機関に対して指導・是正させると受け取れる発言です。河野太郎氏はデジタル庁の大臣です。所管外の厚労行政について、なぜこのような説明や指示ができるのか理解に苦しみます。

保団連が実施したマイナトラブル調査(中間集計12/22)でも83%(2922医療機関)がマイナ保険証を使ってトラブルが起きた際、医療機関は現行の保険証を提示してもらい何とか解決しています。もし、現行の保険証がなければトラブル回避は困難となり一旦10割負担が続出します。

厚労省は保険証持参を呼び掛けている

加藤厚労相(当時)は6月30日の記者会見で、初めてマイナ保険証を使う時などは、念のため保険証を持参するよう呼びかけています。これは、6月29日の医療保険部会で正式に確認された方針であり、担当課長からは、マイナトラブルが続出したことへのお詫びとともに、トラブル防止のため念のため保険証持参を呼び掛けることを周知して欲しいとまで発言されています。現状では、厚労省もマイナトラブル防止のために現行保険証を頼りにしているのが実態です。

厚労省-トラブル発生時の対応

保団連が実施したマイナ保険証トラブル調査(6月21日)でカードリーダーのエラーや資格無効等によりマイナ保険証を利用して資格確認ができなかったことで一旦10割負担を強いられた患者が続出しました。そのトラブルを受けて厚労省は、6月29日の医療保険部会において厚労省はマイナトラブルによる被害を生じさせないために「念のため保険証持参を呼び掛ける」こととしました。

第165回医療保険部会議事録|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

水谷課長 医療介護連携政策課長

 私どもとして、データ登録の状況をお知らせする仕組みを整備・推進を図ってまいりたいと考えてございますが、そうしたものが整備されるまでの間、窓口でのこうした手続を回避していただくためには、初めてマイナンバーカードで医療機関等を受診する場合、あるいは転職等により新しい保険証が交付された場合には、例えば受診前にマイナポータルで新しい保険資格が登録されていることを確認するか、念のためマイナンバーカードと併せて保険証を持参していただきたい。こうしたことの周知をお願いしたいと考えてございます。

トラブル対応マニュアルでも健康保険証で資格確認を呼びかけ

医療機関向けポータルサイトにトラブルが生じた場合の対応マニュアルを作成しています。そこでは、様々なマイナト保険証利用に伴うトラブルが生じた場合は「不具合が解消するまでは、患者に健康保険証を出してもらい、健康保険証で資格確認を行ってください。」と記載されています。

参考: トラブルシューティング編_1.30版 医療機関向けポータルサイト

 

加藤厚労大臣(当日)も「念のため保険証持参」を呼び掛け

6月29日の記者会見で加藤厚労大臣(当時)も念のため保険証持参を呼び掛けていました。

 

加藤大臣会見概要 |令和5年6月30日|大臣記者会見|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

記者

昨日29日の医療保険部会で、マイナ保険証で初めて受診する際などに念のためとして従来の健康保険証も一緒に医療機関に持参するよう呼びかける方針が明らかになりました。マイナ保険証との一体化を目指す中、従来の保険証が必要となり混乱は生じないのでしょうか。またこうした対応は「データ登録状況を知らせる仕組みが整備されるまでの間」となっていますが、いつまで続く見通しでしょうか。大臣の考えをお聞かせください。

加藤厚労大臣(当時)

まず昨日の社会保障審議会医療保険部会では、健康保険証を持たずにマイナンバーカードにより受診されその場でオンライン資格確認を行うことができなかった場合にあっても、医療機関等がレセプト請求を行うために必要な情報を書面で提出していただければ、保険料を払っておられる方が必要な自己負担すなわち3割分等で必要な保険診療を受けられるようにする取扱いをお示しさせていただいた、ここがポイントです。それをするときに今申し上げたような必要な情報を書面で提出していただくということがあります。転職等の際に事業主から提出される資格取得届にマイナンバーが記載されておらず保険者において確認中である場合など、保険証が発行されていてもオンライン資格確認で「資格(無効)」や「資格情報なし」と表示されることがあるが、これは保険者が加入者に対し個別にデータ登録の状況をお知らせできれば、そうしたときの混乱を未然に防ぐことができるということです。このため被用者保険の保険者が今後転職等による新規保険証発行の際にオンライン資格確認等システムへのデータ登録状況を併せてお知らせする取組を進めていくこととしております。
この仕組みが整備されるまでの間、医療機関等の窓口で書面を提出していただく手続き、これも煩瑣なこともございます、それを回避するということで、初めてマイナンバーカードで医療機関等を受診する場合や転職等により新しい保険証が交付された場合などは、受診前にマイナポータルで新しい保険資格が登録されていることを確認するか、念のためマイナンバーカードとあわせて保険証を持参していただくことが考えられるところです。こうした対応はあくまでもオンライン資格確認等システムへのデータ登録状況をお知らせする仕組みが整備されるまでの時限的なものであります。かつ今申し上げたように初めてマイナンバーカードで医療機関を受診する場合といった、いわば限定的な場面での取扱いをお示ししたものであり、常に保険証を持参していただくということでは全くありません。今後対応可能な保険者から順次、データ登録の状況をお知らせする仕組みを整備し、被保険者が医療機関等で安心してマイナンバーカードを利用いただける環境の整備を図っていきたいと考えております。