転勤族を悩ませる 毎年マイナ保険証「失効」のリスク

14日以内に届出しないとマイカ「無効」

引っ越しや転勤で毎年年度末に転出転入手続きが発生します。

住民基本台帳法では、転入日(引っ越した日)より2週間以内に新自治体に転入手続き及びマイナカードの切り替え手続きをしないと、マイナカードそのものが失効します。

再発行は可能ですが、手数料1000円が必要となります。また、発行されるまで1カ月以上の期間を要します。

 

通常、4月1日付で転入届を提出するケースが多く、その場合、4月17日までに役所に出向き必要な手続きをしないと失効となります。逆に言うと失効を回避しようと転勤・転居者が窓口に殺到し、毎年4月上旬の2週間は自治体窓口が大混雑することになります。

 

マイナ保険証も無効に

医療機関窓口に設置された顔認証付きカードリーダーにマイナ保険証を置いて顔認証もしくは暗唱番号を入力することでオンラインでの資格確認が可能となります。

オンラインでの資格確認とは、マイナカードのICチップに搭載された電子証明書(利用者用)を電子キーとして、オンライン資格確認システムのデータサーバーにアクセスし、被保険者情報等を医療機関の端末に返す仕組みとなります。

つまり、マイナカードが失効するということは、当然、マイナカードに搭載された電子証明書も失効となり、途端にオンラインでの資格確認ができなくなり、「無保険扱い」となります。

マイナ保険証によるトラブル調査で最も頻度が多いのが、マイナ保険証「無効・資格喪失」となるエラーです。実に全体の6割を占めています。

転入手続き遅れに伴う失効問題は輪をかけて無用な失効者を増やすことになります。

「無効」のマイナカード/マイナ保険証を医療機関受診の際に持参・利用した場合は「無保険扱い」となる等トラブルは避けられません。

連日、マイナ保険証のトラブルが報道され関心が高まってきていますが、転勤・転入後14日以内に手続きしないとてマイナカード/マイナ保険証が使えなくなると認識している人は少ないと思われます。

 

リスクに備えて健康保険証の存続を

 

 保団連は、医療を受ける時に「無効」と表示され、全額自費にならないように注意喚起を呼び掛けていきますが、「失効」リスクに備えて、健康保険証を存続させることが危機管理の点からもいかに重要か再認識させられました。

同時に自治体窓口での大混乱や無用なマイナトラブルを避けるるために、システムを一旦停止すべきです。

デジタル庁は、2週間以内に手続きしてとしか案内していません。「失効する」ことに一切触れていないことが罪深いです。

https://myna.go.jp/html/moving_oss.html

マイナカードの作成に役所の窓口が大混乱し、中には5時間待ちのとこもありました。来年4月の転出・転入の時期には、全国の自治体窓口は大渋滞、大混乱になることは必至です。

自治体職場は人で不足に加え、毎年、3月、4月は転出・転入で元々、残業・休日出勤当たり前の状況でした。マイナカード申請発行業務でさらに多忙を極める中、さまざまなヒューマンエラーが生じています。

 

転勤でマイナ保険証「失効」で想定される混乱

 

◎住民基本台帳法で転入日から2週間以内に転入届出を出すことが必要
◎現状では、引っ越しした事実認定を元に転入日とみなし実務上の転出入日が確定している。
◎転入日から14日以内に転入自治体の窓口でマイナカードの手続きをしないとマイナカードが失効する。
◎電子証明書も無効となり医療機関受診の際に、マイナ保険証が使えなくなる。
◎例えば、3月上旬に転勤辞令が出され3月31日に引っ越した(転入した)場合で、4月14日までに転入手続きができないと、失効により医療機関窓口でマイナ保険証が使えなくなる可能性がある。
◎例えば、花粉症治療に耳鼻科に受診した際にマイナ保険証「無効」となり、健康保険証が持参していないと、一旦10割負担となる可能性がある。
◎健康保険証廃止後はマイナカード再発行に要する期間(1カ月以上)は保険料を払っていても「無保険」となる。突然のけがや病気でも10割負担を強いられる。

 

<関係法令>

住民基本台帳法

(個人番号カードの交付を受けている者等に関する転入届の特例)

第二十四条の二

4 転入予定地市町村長は、第一項又は第二項の規定による転出届をした者が当該転入予定地市町村長に最初の転入届又は最初の世帯員に関する転入届(次項において

「最初の転入届等」という。)をすることなく、前項の規定による通知があつた日から政令で定める期間が経過したときは、同項の規定により通知された事項を消去し

なければならない。

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=342AC0000000081

 

住民基本台帳法施行令

(最初の転入届等において特例の適用を受けることができない場合)

第二十四条の二 法第二十四条の二第一項ただし書に規定する政令で定める場合は、次に掲げる場合とする。

一 転出届をした者が、当該転出届がされてから最初の転入届(法第二十四条の二第一項に規定する最初の転入届をいう。以下同じ。)がされるまでの間において、い

ずれかの市町村の住民基本台帳に記録されたことがある場合

二 転出届をした者が、当該転出届により届け出た転出の予定年月日から三十日を経過した日又は転入をした日から十四日を経過した日のいずれか早い日以後に、最初

の転入届をする場合

 

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=342CO0000000292

 

<参考 各自治体HP>

目黒区 マイナカードの継続利用について

https://www.city.meguro.tokyo.jp/kurashi/my-number/card/mynumber-card_keizoku.html

継続利用ができない場合は、マイナンバーカードが失効し利用することができなくなります。再度、利用するためには再発行の手続きが必要です。(有料)

 

横浜市

https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/koseki-zei-hoken/todokede/koseki-juminhyo/touroku/j-net1.html

引越し先に住み始めた日から14日以内又は引越し予定日から30日以内のいずれか早い日までに届出をしてください。それを過ぎると、カードは失効となり、カードを利用した

転入はできなくなります(マイナンバーカードの再発行が必要になります)。あらためて、引越し前の市区町村で転出証明書に準ずる証明書の取得のうえ、通常の転入届を行ってください。