被災者医療確保に向けて質問と要望 厚労省災害対策本部ブリーフィング

厚労省への質疑でわかったこと

・厚労省が報告している被災医療機関には医科・歯科診療所は含まれていない

 ※被災者の震災関連死を防ぐためにも、かかりつけの被災医療機関の被害状況の把握と復旧に向けた支援が不可欠です。保団連は石川県保険医協会と連携しながら被災状況の把握を懸命に行っています。

・被災者の窓口負担ゼロ措置は限定的 国の財政負担がある措置はこれから

 ※国の財政措置がないと被災自治体など財政力に乏しい国保組合では免除に踏み切れません。すべての被災者の被災医療を確保するためには国の財政措置が不可欠です。

・オンライン資格確認(災害時モード)の利用件数(1500件)との報告は石川県、富山県の全域の数値

 厚労省は珠洲市 輪島市など通信が困難な自治体での利用できてるかそもそも把握していない

  ※輪島市や珠洲市では停電、通信不通などインターネットそのものの利用が不安定です。オンライン資格確認に固執するのではなく、アナログ対応を中心に広報すべきです。

・避難所でのマイナ保険証の利用は「案内」に過ぎない

 ※マイナカードを所持していない、マイナポータルを使えない方も大勢います。保険証・お薬手帳で十分対応できますし、紛失しても処方されることもきっちり周知・案内すべきです。

 

武見敬三厚生労働大臣は1月6日の厚労省災害対策本部にて被害状況や厚労省の対応状況を報告しました。

・14 の医療施設で断水等の障害が発生

・18 の水道事業者で約72,000 戸が断水中

・応急給水体制の増強、医療や健康・生活衛生、感染症への専門家派遣等の強化

・石川県の各地にDMATを避難患者が多い3病院、市立輪島病院に、珠洲市総合病院、七尾市公立能登総合病院に派遣し活動中

・DPAT(災害派遣精神医療チーム)、AMAT(全日本病院医療支援班)が7隊、JMAT(日本医師会災害医療チーム)、災害支援ナースが活動中。

・医薬品は、翌日には現地の医療機関等にお届けできる体制を整備。

・服薬情報などについて、オンライン資格確認システムの災害時モードにより、マイナ保険証や紙の保険証がなくても、医薬品の処方を行うことができ、1月4日までに、約1500 件余りの利用。

・避難所でも、マイナンバーカードがあれば、ご自身やご家族のスマホで、マイナポータルを通じて、同様の確認可能。

※医療部分のみ一部省略

会議後のブリーフィングにて以下の要望と質問を行いました。

 

災害時モードについて

保団連

1月1日から1月4日の災害時モードでオンライン資格確認の利用が約1500件と報告したが、被害が大きい輪島市や珠洲市などでも利用されているのか。停電、通信不通などでそもそも被災医療機関は利用できないと思うがいかがか

厚労省

災害時モード1500件の内訳として主に石川県と富山県での利用の述べ件数。市町村別には把握していない。利用内容は「被保険者情報」の閲覧数と「薬剤情報など健康医療情報」の閲覧件数を加えた数字だ。

 

保団連

マイナポータルで健康情報等が閲覧できるとしたが、停電・通信不通等でそもそもスマホがつけない、マイナカードも所持していないケースも多い。今回のような災害時は健康保険証やお薬手帳の利用が現実的かつ有効ではないか。

厚労省

マイナ保険証でスマホ等を利用してマイナポータルにアクセスできれば、被災者が自身の健康情報を見ることができることを案内しており、一つの手段として資格情報 健康情報の提供できるよということだ。避難生活の中でも自身の健康情報が閲覧できるツールだ。

 

被災者医療確保 窓口負担ゼロの措置について

保団連

保険者の判断で医療費一部負担金の減免が可能とされているが、東日本大震災や熊本地震と同様にすべての被災者の窓口負担をゼロにするよう国の財政措置を早急に具体化すべきだが検討状況はどうか

厚労省

現状では、各保険者・自治体等に災害時の既存の減免制度の枠組みを紹介している段階だ。現行の枠組みでは、保険者の判断で当該被災者の一部負担金の負担が困難と考える場合に、保険者判断で減免額が可能となる。減免金額が一定額を超える場合は国が8/10補助できる仕組みである。

 

保団連

熊本地震と同様にすべての被災者に国の財政措置を担保した形で一部負担金等を免除する措置はいつ導入されるのか?

厚労省

現行枠組みを超える上乗せ措置については、財政当局とも相談が必要。現時点は上乗せ措置を取るかどうか検討中。

保団連

いつどのように検討するのか

厚労省

「激甚災害」の指定や災害規模等を勘案しながら災害の規模等を勘案して検討していく。いずれにしても財政当局との調整が必要だ。

 

被災医療機関の把握

保団連

「14 の医療施設で断水等の障害が発生」と報告されたが被災医療機関の範囲は医科・歯科診療所は含まれるのか

厚労省

EMIS(広域災害救急医療情報システム)を通じて被災医療機関を把握している。EMISは病床がある医療機関のみとなるため、医科・歯科診療所は含まれていない(把握していない)。