河野太郎デジタル大臣は、1月24日の記者会見で「災害時にはマイナカードをタンスにしまわずに財布に入れて一緒に避難してほしい」と述べました。マイナポータルを利用して薬剤情報が閲覧できるので災害時の医療提供に役立つとの理由です。SNS等で賛否両論が出されてます。
参考 河野デジタル相「マイナカードと一緒に避難して」発言…「停電ならただのカード」「まだ言ってる」SNSで批判殺到 | Smart FLASH/スマフラ[光文社週刊誌] (smart-flash.jp)
マイナポータルにログインするには、マイナカードとスマホが必要となりますが、災害で停電・通信不通となったエリアではマイナポータルは利用することができません。能登半島地震では、発災当初は、財布もスマホもお薬手帳も保険証も何も持たずに着の身着のままで避難された方が多くいました。
一瞬の判断で生死が分かれる場合も
大津波警報が発令され、放送各社からも「とにかく逃げてください」と連呼されたのが記憶に新しいです。家屋倒壊による死者が多く発生しました。発災直後の一瞬の判断が生死を分けたこともわかっています。その一瞬の迷いが被災状況を左右することになります。
停電・通信不通でインターネットも繋がらない 「マイナ保険証、オン資は使えない」
電柱が倒壊し、光ファイバー回線が破断したり、通信環境の悪化で無線通信も困難・繋がりにくくなる地域もあり、マイナポータルやオンライン資格確認システムによる医療情報・薬剤情報は利用できない場合が多くなりました。かかりつけ医療機関が被災した場合もオンライン資格確認(災害時モード)による資格情報や薬剤情報の閲覧も不可能となりますのでやはり困難が伴います。
余震が続く中で倒れた家にものを取りに行きケガなどをされた方もいらっしゃいます。行政が危険判定した建物に近づいたり中に入ることは非常に危険が伴います。
厚労省は、被災者の医療費・介護利用料の免除制度を周知するポスターで、「被災者は保険証や現金なくても 医療機関等を受診できます」と書きました。保険証も現金もなくても安心して避難できるようにしました。
既往歴は保険者から提供される 「お薬手帳すらいらない」
既往症・服薬中の方が被災された場合、かかりつけ医療機関以外から医療を受けたり薬を処方されるには、処方歴や既往歴が必要です。被災者医療の確保に向けて全国から医療支援活動が展開されており、移動薬局により持病の薬を処方されました。実は、災害時に被災者の薬歴・既往症などの情報は、各保険者から提供される仕組みが確立されています。能登半島地震でも石川県国保、後期高齢者医療保険制度から医療機関等に提供することができることが既に通知されています。
令和6年能登半島地震による災害の被災者に関する既往歴等の提供について
令和6年能登半島地震により被災した国民健康保険又は後期高齢者医療制度に加入する被保険者におかれては、かかりつけ医等の医療機関等で診療を受けることができず、他の医療機関等において診療を受ける際に、当該被保険者に係る既往歴や薬剤情報を把握できない場合が想定されます。
建物や通信機器の損壊等により、医療機関・薬局でオンライン資格確認等システムを利用できない場合も想定されることから、このたび石川県国民健康保険団体連合会(以下「石川県国保連」という。)においては、かかりつけ医等の医療機関等以外においても、被災した被保険者の罹患情報等を把握し、適切な医療を速やかに提供するため、医療機関等及び保険者等からの照会に応じ、石川県国保連が保有する、国民健康保険又は後期高齢者医療制度に加入する被保険者の罹患情報等を提供する