【2024年診療報酬改定】看護補助者月給は全産業平均30%低い わずかな加算で処遇改善・人材確保困難

2024年度診療報酬改定率は、本体を0.88%引き上げる一方、薬価・材料を1.00%引き下げて、全体(ネット)で6回連続のマイナス改定0.12%となりました。これは、政府の社会保障費の自然増抑制政の財源を診療報酬削減で捻出したものです。

改定率の内訳は、0.88%分と診療所を中心とした生活習慣病等の評価引き下げ0.25%分を合計した1.13%が医療を巡る各課題に投入されます。大半の0.89%を医療従事者の賃上げ対応に使われますが、それでも一般産業平均水準への改善には程遠い状況にあります。未就業者の復職支援にはならず医療従者の処遇改善や人材確保にはつながる水準とは言えません。

医療従事者の賃上げ対応(税制活用も含め)は、コメディカルにおいて+2.5%(2024年度)、+2.0%(2025年度)のベアを目指すこととされています。2月14日に開催された中医協の答申では、基本診療料での対応をベースに、①賃金増率が1.2%に達しない医療機関を対象とした追加の評価(8区分)を新設②点数の増加分が実際に賃上げに使われているかを担保するため、計画と実績の報告も求める―となりました。

全産業平均で低すぎる賃金 解消に程遠い改定率

医療関係職種(医師・歯科医師・薬剤師・看護師を除く)の月給与平均は32.7万円と全産業平均36.1万円を10%近く下回っています。看護補助者に至っては月給与平均は25.5万円と全産業平均を30%も下回っています(中医協資料、12月8日)。コロナ禍の負荷も重なり、医療関係職種の入職超過率が低下する中、これで国として医療従事者をきちんと確保する責任を果たしたと言えません。

長引くコロナ危機で現場は疲弊し、異常な物価高騰も進む中、僅かな賃上げ対応に留めて、地域医療の維持・充実に背を向けたものと言わざるを得ない。このようなやり方ではなく、診療報酬の大幅引き上げと、人材確保、賃上げ対応の必要性に応じて補助金を活用するなどで対応するべきです。