【2024年診療報酬改定】インフレ率2.4%では実質1.62%のマイナス改定

 岸田政権は、昨年12月24日に2024年度診療報酬改定率を閣議決定し、診療報酬本体は0.88%引き上げ、薬価・材料価格は1.00%引き下げとし、改定率全体では6回連続マイナス改定となる-0.12%としました。診療報酬本体は前回改定(2022年)の0.43%増を大きく上回る0.88%のプラス改定となりました。

 

急激なインフレ 賃金上昇下での診療報酬改定

デフレ期での改定とは異なり、今次改定はインフレ率が急激に上昇する中での改定です。内閣府の直近の「政府経済見通し」では、24年度のインフレ率(予測)は2.5%を示しています。

プラス0.88%でもインフレ率を上回る引上げでないと実質マイナス改定です。

厚労省が2月6日に発表した毎月勤労統計調査によると2023年度の実質賃金は2.5%減少しました。物価上昇率が3.8%と42年ぶりに高水準となる中、名目賃金(現金給与総額)の上昇が追い付かず実質賃金は2年連続でマイナスとなりました。名目賃金(現金給与総額)が前年比1.2%と3年連続でプラスということが注目すべき点です。既に、医療界は、入職超過率(入職率-離職率)は0.0%にまで落ち込んでおり、抜本的な賃上げ・処遇改善しないと職員の確保もままならない状況下にあります。

ところが賃金や物価が上昇する中で、診療報酬本体の改定率がわずか0.88%にとどまったということは、実質的には+0.88%からインフレ率+2.5%を控除した-1.62%が真の診療報酬改定率だったことを意味します。保団連は、異次元の物価高騰、医療従事者の賃上げ・処遇改善に対応するには不十分と指摘してきました。