保団連の小澤力副会長は3月5日、能登半島地震の被災地・輪島の歯科医療機関を訪問し、被害状況を伺うとともに訪問診療用ポータブルユニットやハンドピースなどを届けました。
門前町走出にあるマルト歯科医院の星野伸也先生は「ポータブルユニットは在宅や避難所での治療に非常に助かる。ありがたい」と話されました。
星野先生の医院では、1月1日の地震で診療所はレントゲン室のパノラマ、デンタルが倒れ使用不能に。1月29日から外部ポンプで診療を再開しましたが、断水はまだ解消していません。
再建のめど立たず 閉院のところも
輪島市と同様に被害が大きかった珠洲市に知り合いの歯科医師がいるという星野先生。「再建のめどが立たず、閉院を口にする先生もいる」と心配そうに話されました。
今後の地域での暮らしについて、「被災者生活再建支援法による支援も現在の金額では足りないのではないか」と話し、「家を失った人は地域に戻れるのか展望が見えない。国の十分な支援が不可欠」と強調されました。
輪島市河井町・矢間デンタルクリニックは現在休診中。矢間秀樹先生に、ポータブルユニット、水、お見舞金を手渡しました。
矢間先生は、「県外で正月を過ごしていたところに能登で地震が発生。1週間ほどして輪島に戻れたが、地域はひどい状況で呆然とした」と話されました。
診療所の建物は、外観は無事に見えるが、内部は蛍光灯やガラスが散乱し、窓も外れて風雨が吹き込む、「ぐちゃぐちゃ」な状況です。 診療再開の見込みがまだ立たないことから、一緒にやっていた歯科技工士さんは独立することになりました。「水などとてもありがたい」と話されました。
復旧や医療提供体制維持に向けて さらなる公的施策を早急に
輪島市は2月末に被災者が過ごす自主避難所への物資の配送を打ち切ると報じられています。被災建物の公費解体も進まないなど遅れている復旧への懸念や、国、自治体の対応の不十分さを指摘する声もありました。
奥能登では公立病院の医療従事者が多数離職し、医療提供体制維持が危惧されています。会員医療機関でも従業員の多くが被災しており、歯科衛生士をはじめ人員確保への強い不安の声も出されました。人員確保への公的な施策の要望も寄せられました。