3月13日衆議院 地域・こども・デジタル特別委員会にてマイナ保険証推進、保険証廃止問題について審議されました。河野太郎デジタル大臣は、マイナ保険証利用率が低迷する中でも12月2日に現行の健康保険証廃止を強行する姿勢を示しました。河野大臣は「今さら20世紀に戻るわけにはいかない」「今さら紙の保険証に戻るわけにはいかない」とまで強弁しました。
マイナ保険証がデジタル化を阻害?
河野大臣は「紙に戻るわけにはいけない」と言いましたが、そもそも国民健康保険、後期高齢者医療保険は紙の保険証ですが、サラリーマンが加入する被用者保険はプレートの保険証です。24年12月2日に現行の健康保険証を廃止しても資格確認書、資格情報のお知らせ、資格申立書など紙が残るどころか種類が増えます。マイナ保険証保有者にも資格情報のお知らせを送ります。プレートの保険証を廃止してもプレート(物理カード)のマイナカード、マイナ保険証は残ります。健康保険証だとデジタル化の恩恵を受けられないということも決めつけです。
マイナ保険証利用率は5%以下ですが、残りの95%の患者さんが健康保険証を医療機関窓口に提示するだけで医療機関側はオンライン資格確認を利用しています。紙保険証でデジタルを利用していないというのであれば河野大臣の認識不足です。
「マイナ保険証ありき」「マイナに固執する姿勢」がかえって医療のデジタル化を阻害する要因ではないでしょうか。
健康保険法等の法令では健康保険証を発行・交付する義務を保険者を課しています。だからこそすべての国民の健康保険証が手元にある状態にあり、突然のケガや病気の時も保険証1枚で医療機関を受診できます。
保団連は、保険証1枚でいつでもどこでも誰もが平等に医療が受けられる国民皆保険制度を守るため現行の健康保険証の存続を引き続き求め続けていきます。
<早稲田ゆき議員と河野太郎デジタル大臣の質疑>
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早稲田ゆき議員
24年1月のマイナ保険証利用率は4.6%しかない。薬剤情報の閲覧率は28.5%足らずでむしろ減少してきている。国民に利便性が伝わっておらず、「何のためにやるのかよくわからない」との声が出されている。河野大臣は所信表明で「総点検で紐づけ誤りは既に解消した」と述べたが、現場の実情をご存じないのではないか。
保団連の調査では、昨年10月以降のトラブル調査でも6割の医療機関でトラブルがあった。国分寺市議会が国分寺市内の医療機関を調査したが54%の医療機関でトラブルがあった。9割超が延期・存続を求めている。厚労省が公表した23年11月時点の国家公務員のマイナ保険証利用率も4.36%だった。推進している厚労省職員でも4.88%にすぎない。デジタル庁のマイナ保険証利用率は何%か?
河野太郎大臣
通告されていないので存じない。
早稲田ゆき議員
デジタル庁を含む内閣府全体のマイナ保険証利用率は5.61%だ。デジタル庁でさえ5.61%ほどということだ。この状況について大臣はどのように改善されようとしているのか?
河野太郎大臣
日本のデジタル化の遅れはかなり危機的な状況にある。何か問題があるからと言ってやめていたらまったく進まない。今さら20世紀前に戻るわけにはいかない。今さら紙の保険証に戻るわけにはいかない。国民の理解をいただき着実に進めたい。
早稲田ゆき議員
デジタル化を推進したいと思っているが、そこで取り残されてはならないと考えている。「前に戻すとか、紙の保険証が云々」とかではなく、実際に9割の方が保険証を使っている事実を直視すべきではないか。
能登半島地震が発生して河野大臣はTwitterで発信されているが、マイナカードが機能しなかったのではないか。これまで災害時は停電となりシステムダウンしてマイナカードが使えないと繰り返し述べてきたが大臣からは明確な答弁がなかった。今回の災害でマイナカードは全然使えなかった。大臣は状況把握どころかJR東日本から提供されたSuicaで代替した。マイナカードがなぜダメだったのか検証したのか。
河野太郎大臣
少なくとも停電していない避難所ではマイナンバーカードを使ってさまざまな機能が役立った。停電で1か所、数カ所で使えなくなったからといって全部ダメとはならない。新しい選択肢が加わることになったことはよいことだ。リーダーその他の用意ができないうちの災害だった。本来ならばマイナカードで入所登録、薬剤情報の利用などで役に立たたなかったのは事実。JR東日本のご協力でSuicaとSuicaリーダーの貸してもらい被災地でいろいろなことをやっている。いつ来るかわからない災害に備えていきたい。
早稲田ゆき議員
河野大臣がマイナ避難を呼び掛けたのであれば最低限の準備が必要だ。そうでないと国民が混乱する。災害時にも平時にも利用のメリットが感じられない。利用率を上げる見通しが立たない。
マイナ保険証の利用率が上がらなくても今年12月2日で紙の保険証を廃止するのか。再考すべきではないか。
河野太郎大臣
国会で法改正されたので24年12月2日で健康保険証を廃止する。最長で1年間の猶予措置がある。保険証が廃止されればマイナカードもしくは資格確認書で受診していただける。何か問題があるとは考えていないのでしっかりデジタル化を進めていきたい。