3月のマイナ保険証利用率は5.47%=94.53%が保険証でオンライン資格確認を利用

武見厚労大臣は4月9日の記者会見で「3月のマイナ保険証の利用件数は1,010万件と、初めて1,000万件を超え、利用率は5.47%と増加傾向だが率としてはまだ低い」と述べました。

その上で5月から7月を「マイナ保険証利用促進集中取組月間」とし、マイナ保険証利用促進のための支援金を利用人数の増加に応じて最大20万円を一時金として支給する」としました。

新たな共通ポスターの窓口に掲示、患者への声掛け、新たなチラシの配布などを補助金投入の条件とします。新聞広告やテレビのCMなどあらゆるメディアの動員に国民の税金をジャブジャブ投入します。

武見大臣会見概要 |令和6年4月9日|大臣記者会見|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

 

さらに、武見大臣はマイナ保険証は「国民1人1人の医療の質を高める」「日本の医学医療の進歩の基礎になるデータベースを作る上においても、極めて重要な役割を担う」と主張し、救急、災害などの役割を例示し、「医療DXのパスポートとなるマイナ保険証の利用促進に全力をあげて取り組む」と強調しました。

(例示)

・救急時における実際に患者の容態を理解する上において、マイナ保険証を通じて、そのデータがあれば、救急対応の質の改善に間違いなく役に立つ

・能登地震の時のような震災で避難者(特に高齢者)の基礎疾患や薬剤・治療履歴を即座に確認できる。

 

ところが記者から「集中取り組み月間の利用率の目標設定」について問われると武見大臣は「目標は設定していない」と答えました。全力を挙げるとしながら利用率向上の目標を言えないのはおかしな話です。こんないい加減なものに公金を投入すべきではありません。

 

保険証でデジタルを利用 3月だけで1億7475万件

武見大臣が例示した災害時や救急時のデータ利活用は保険証でも利用できます。医療機関・薬局に整備が義務化されたオンライン資格確認システムにアクセスできれば薬歴や既往歴などの情報を医療機関・薬局など医療提供側はデータ取得できます。マイナ保険証を利用したオンライン資格確認システムの利用は5.47%と低迷していますが、94.53%が保険証でオンライン資格確認を利用しています。患者さんが保険証を提示して医療機関等がオンライン資格確認システムを利用した件数は直近24年の3月では、1億7475万件に及びます。

 

保険証で十分なものに なぜ利用推進するのか?

災害時や救急時でもマイナ保険証がなくても必要なデータへアクセスできることは厚労省自信も認めています。医療機関に人参(税金)をぶら下げて利用率促進をやるしかないのが実態です。保険証で十分なものをわざわざマイナ保険証を利用させることにどれほどの意味があるのでしょうか?患者と医師の信頼関係を傷つけるだけです。一遍の道理も合理性もないマイナ保険証利用促進策は直ちに中止すべきです。