健康保険証を廃止しマイナンバーカードと一本化する法案は2023年4月25日、衆議院委員会で採決されました。採決には自民党、公明党、日本維新の会、国民民主党は賛成しました。立憲民主党と日本共産党は反対しました。法案採決からまもなく1年が経過します。2023年4月14日の衆議院本会議の審議を振り返りました。
保険証を全員に交付した上で、希望者はマイナカードを利用すればよい 坂本議員
坂本議員は、国民皆保険制度の下で、健康保険証の廃止は番号法、任意取得の原則に反し、マイナカードの取得を事実上強制しようとするものと指摘。デジタル化推進にあたっての「誰もが不自由なく行政とのやり取りを行える機会を得られるよう必要な措置を講ずる」等の付帯決議に抵触するのではないかと質しました。
河野デジタル大臣は、マイナカードの保有を義務付けるものではないとした上で、カードによるオンライン資格確認を基本としつつ、例外的な事情によりオンライン資格確認を受けることができない状況にある方については、本人申請により資格確認書を発行するため、付帯決議に則った対応だと強弁しました。
坂本議員は医療機関でのオン資システムの運用開始が7割に留まり、不具合も多く報告されていることを指摘。これを機会に廃業や閉院する医療機関もあるとして、現場の混乱にどのように対処するのかと質しました。加藤厚労大臣は、オン資義務化にあたっては、カードリーダーの無償提供や補助金、ポータルサイトによるトラブル対処法等の周知、コールセンターの設置など行っている。また、やむを得ない事情がある医療機関等には経過措置を設け、財政措置の期限も延長したと説明。引き続き医療現場に対し丁寧に周知し、確実な導入に向けた支援に取り組んでいくとしました。
坂本議員はさらに、代替措置の資格確認書も申請主義であり、「無保険者」が必ず発生することを指摘。従来の保険証を存続させれば新たに別の制度をつくる必要はない。保険証を全員に交付した上で希望者はマイナカードを利用すればよいだけのことだと述べ、加藤厚労大臣に「明解な答弁を」と求めました。
加藤厚労大臣は、マイナカード利用によるメリットを丁寧に伝えるとともに、利用できない人には資格確認書の申請を勧奨するなど必要な対応を行うと述べるにとどまり、健康保険証の廃止が「無保険者」を生み出す問題や、従来の保険証の存続をと求める意見にはまったく答えませんでした。