【河野大臣・マイナ保険証呼び掛け文書】保険証廃止を進める政府方針そのものが不適切

河野太郎デジタル大臣が作成し自民党所属国会議員に配布した文書 下線部は保団連が追加

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4月24日の参議院予算委員会で河野太郎デジタル大臣が自民党の国会議員宛に送付した文書について田島麻衣子議員(立憲)が岸田文雄首相を追及しました。

 岸田首相は、河野デジタル大臣の文書について「政府の見解と合致しており、不適切なものではないと考えている」「医療機関などでマイナ保険証が利用できなかった場合には、マイナンバー総合フリーダイヤルにご連絡をくださいという呼びかけを、デジタル庁ホームページでも行っている」とした上で、「政府の取り組みと河野氏の文書の内容は決して矛盾するものではない」と説明しました。岸田首相も河野太郎デジタル大臣が発出した文書を追認した形です。

河野大臣が出した文書

 河野太郎デジタル大臣がマイナ保険証の利用率向上に向けて、マイナ保険証を受け付けていない医療機関があれば連絡するよう自民党議員に呼びかける文書をデジタル大臣名義で出しました。

保団連が入手した河野太郎議員事務所が自民党所属国会議員に送付した文書には

マイナンバーカード保険証の利用率が低迷しています。その原因は、医療機関の受付での声掛けにあると考えられます。ぜひみなさまの支援者に、マイナンバーカード保険証の利用を働きかけていただくと同時に、マイナンバーカード保険証での受付ができない医療機関があれば、マイナンバー総合窓口にご連絡くださいますようお声掛けをお願い申し上げます。厚労省から必要に応じて、事実確認をさせていただきます。」と記載されてます。

「利用率低迷」の責任は政府・与党にある

文書ではマイナ保険証の利用率低迷の責任は医療機関にあると断定していますが、保険証廃止を強行し、アメムチでマイナカード、マイナ保険証利用を強引に進めてきた政策の失敗であり、政府、与党にこそ責任があります。

医療機関は、マイナンバー紐づけミスなどのマイナトラブルを受けて、安心して保険診療が受けられない事態にまで追い込まれました。国民の不信感が根強く、メリットもほとんどないマイナ保険証の利用率が低迷するのも当然のことです。そのことを棚に上げて医療機関・薬局に利用率向上の責任を押し付けることは政府の責任回避そのものです。

トラブル多発でマイナ保険証の受付ができない

マイナ保険証利用者に保険証の提示を求めたりする医療機関がある場合は窓口に連絡するよう呼びかけ、「厚労省が必要に応じて事実確認する可能性もある」と医療機関への脅しとも取れる記述もあります。

そもそも法令上、保険資格の確認の義務が課された保険医療機関が被保険者(患者)に保険証の持参を呼び掛けたり医療機関窓口で健康保険証の提示を求めるのは当然です。健康保険証は24年12月2日以降も最大1年間の経過措置があり健康保険証は利用できます。厚労省も「マイナカードまたは健康保険証」とし、医療機関等のホームページに掲載することを求めています。

マイナトラブルが解消されない中で、マイナ保険証での受付を希望された場合でも健康保険証で受付ざるを得なくなることもあります。河野大臣の文書では、マイナ受付が困難な場合、コールセンターに連絡することを求めていますが、保団連調査ではマイナ保険証で資格確認が困難な場合7割が健康保険証により資格確認を行いトラブルを回避しているのが実態です。

「12月時点の利用率目標は設定しない」が政府方針

マイナ保険証の利用率が5・47%(3月)と低迷する中、武見敬三厚労大臣は4月18日の参院厚労委員会で、「マイナ保険証利用率と関係なく12月に健康保険証を廃止する」と強弁。さらに、武見大臣は「マイナ保険証を利用するか否かは本人の意向」「国として12月時点の利用率の目標は設定しない」と言い切りました。国として利用率の目標設定はしないといいつつ、医療機関には多額の補助金や診療報酬を投入し強引に利用促進を迫っています。利用率の目標を設定していない「利用率低迷」の責任を医療機関に求めるのは筋違いです。

強引な利用促進で患者と医療機関に軋轢

政府の強引な利用促進策により患者・国民への説明責任やクレーム対応が医療機関・薬局に押し付けられています。その結果、 「リハビリで通院中。3月までは月1回の提示で良かったのに、4月1日以降、週5回の通院の都度、マイナ保険証の利用を求められて大変だ」「受診先医療機関で『マイナカード取得していない』と答えると、12月に健康保険証が廃止されるからあきらめてマイナカードを作った方が良いと強要された」「薬局でマイナ保険証の声掛けをしているが、マイナカードの説明に時間と手間が取られ、行列もできた」など、強引な利用促進策で医療現場・薬局・患者双方に混乱・軋轢が生じています。国は「医療の質が向上する」「医療DXの基盤」とマイナ保険証利用のメリットを強調しているが、個別同意があれば健康保険証で利用できます。薬剤情報、診療情報等はレセプト(保険請求)情報のため1カ月以上前の古い情報です。メリットを感じられないものを無理に利用促進しても医療機関にしわ寄せとなり、患者との軋轢が生じるだけです。

95%が保険証を選択 何の齟齬も起きていない

24年3月のマイナ保険証の利用率は5.47%にとどまる一方で、94.53%の方が健康保険証を使用しています。何の齟齬もなく保険診療が受けられています。マイナ保険証利用は患者・国民の任意選択の結果です。多額の税金や診療報酬を投入し、医療機関・薬局にマイナ保険証利用を患者に呼び掛けさせるキャンペーンこそが不適切であり即刻、中止すべきです。