マイナゴリ押しチラシや話法は「マイナカードないと薬もらえない」と誤解する

厚労省が5月から7月までの期間で実施しているマイナ保険証利用キャンペーンでは、医療機関・薬局に一時金をばら撒き、ポスターの張り出しやチラシの配布、「マイナカードお持ちですか」などの声掛けを通じて、マイナカード取得やマイナ保険証の利用促進を強引に進めています。

特に薬局での強引な声掛けによる患者さんの不安や憤りの声が多数寄せられており、「マイナ保険証がないと受付できない」「健康保険証がなくなるから12月以降はマイナ保険証がないと窓口で一旦10割負担になる」「行政から言われておりマイナ保険証への切り替えないと困ることになる」など患者さん不安や懸念、誤解を招いています。

その原因となっているのが厚労省が作成したチラシと台本(トークスクリプト)です。

マイナ保険証利用促進キャンペーンで配布されているチラシを知らない人が見たら、「12月に現行の保険証がなくなるなら、急いでマイナ保険証を申請しなきゃ!」と不安を煽られます。

厚労省は6月3日、公式Xで「\ #マイナ保険証 への移行まであと半年!/12月2日から現行の健康保険証の新規発行は終了となり、マイナ保険証を基本とする仕組みに移行します。ぜひお早めに、簡単・便利なマイナンバーカードの保険証利用を始めてみてください。」と投稿しました。

厚労省X

トークスクリプト(台本)は違法行為を助長し、患者の誤認を招く

 

マイナカードを持ってる人にマイナ保険証に切り替えを強要

マイナンバーカードをお持ちでしょうかと声掛けさせて「はい」と答えた人には「当薬局ではマイナンバーカードを保険
証として利用いただけます。カードリーダーの画面に表示される案内に沿って、受付をお願いします。」と説明させた上で「2024年 12 月 2 日に現行の健康保険証の発行が終了します。ぜひ、お早めの切り替えをお願いいたします。」と説明させています。健康保険証の新規発行が停止されても最大1年間の猶予があることやマイナ保険証を持っていない方には資格確認書が交付されることを説明せずにマイナ保険証への切り替えを推奨するものです。

マイナカードを持っていない人に「カードないと医療受けられない」と誤認させる

マイナンバーカードをお持ちでしょうかと声掛けさせて「いいえ」と答えた人には「2024年 12 月 2 日に現行の健康保険証の発行が終了します 。まずは ぜひ、お早めにマイナンバーカードの作成 をお願いいたします。また、保険証利用の登録は、マイナポータルやセブン銀行 ATMなどのほか、当薬局のカードリーダーでも簡単に行うことができます。」と回答する話法となっています。

マイナンバーカードの作成は国民の自由意思に基づくもので申請主義(任意原則)です。ところが健康保険証に一体化することを理由に任意のものをあたかも義務かのように医療機関・薬局に言わせているのです。厚労省がマイナンバー法に明らかに違反する行為を医療機関・薬局に強いているとも言えます。少なくともマイナカードないと医療が受けられない、薬がもらえないと誤認させる声掛け、患者トラブルの原因になります。直ちに中止すべきです。

 

武見厚労大臣の記者会見(6/4)

 

https://www.mhlw.go.jp/stf/kaiken/daijin/0000194708_00699.html

武見大臣会見概要 |令和6年6月4日|大臣記者会見|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

 

記者:

「マイナ保険証利用促進集中取組月間」について伺います。現在、薬局や医療機関の窓口での声かけによって一部の患者から、取得を強制されているように感じたという声があります。薬局などの窓口は、厚労省で作成されたトークスクリプト通りの声かけが行われており、この内容が少し強引過ぎるのではないかという受け方もありますが、大臣のお考えをお聞かせください。

 

武見厚労大臣:

 

強引に受け止められたとすれば大変残念ですが、しかし私どもとしては丁寧に、そうしたマイナ保険証というものが、これから我が国の医学・医療を進歩させるためには不可欠の重要なパスポートである、そして我が国が世界各国の中でも、こうしたデジタル化が医療・保健の分野で最も遅れている国です。そのため、医学・医療の進歩が今後、生成AIなど使いながら急速に加速度的に進歩するというときの大前提が、こうした国民の皆様方の電子カルテ情報や、これらを1次利用、2次利用と活用する、そうした仕組みを一刻も早くしっかりつくり、かつその中で国民一人一人のプライバシーと個人情報を守るというルールをつくりながら、そうしたシステムを1日も早くつくりあげていくことが、我が国の医学・医療の進歩、そして国民一人一人の健康を世界で最高水準の医療でサポートしようとするとき不可欠です。そのことを実現するため、ぜひご理解いただき、丁寧に、実際に参加していただくということが私どもの基本的な趣旨であるということは改めて申し上げておきたいと思います。

記者:

マイナカードの使用自体は任意だと思いますが、今配られているチラシやポスターには、資格確認書で保険資格が示せるということは記載されていません。この内容は適切だとお考えでしょうか。

 

武見厚労大臣:

まずはマイナ保険証を使っていただくために、アナログからデジタルに変わるということは大変、心のバリアのようなものはあると私は思います。特に私くらいの年代になりますと、保険証といえば、どこでも保険証があれば日本では医療機関にかかれるという1つの安心感のシンボルのようなものでもありました。ただ、それを改めてマイナ保険証というデジタル化の仕組みに組み替えることによって、そのアナログ的手法からデジタルに変わるということが、今日本の社会全体に求められています。このことをやはり丁寧に、そうした世代の方々にも理解していただくよう、こうしたマイナ保険証の普及に取り組むということが私どもの基本的な考え方であり、ただ、実際にこれには時期的な限度もございますので、12月2日という1つの期日を付け、できる限り多くの皆様方にマイナ保険証の利用にご参加いただきたいという思いでさせていただいております。