【河野太郎デジ相記者会見】保険証存続求める5万3千件の意見提出も「マイナ保険証への一体化方針は変わらない」

現行の健康保険証の新規発行が停止される12月2日まで3カ月を切りました。保険証廃止の省令改正に対するパブリックコメントに5万3千件を超える意見が厚労省に提出され大多数が健康保険証の存続を求める意見でした。

保団連は、9月3日にデジタル庁の大臣記者会見に参加し、河野太郎デジタル大臣に対して、保険証存続の意見提出の受け止め、低迷するマイナ保険証利用率について質問し、健康保険証廃止、マイナ保険証への一体化方針の再考を求めました。河野大臣の答弁は、「不安払拭の広報をしっかり行う」と発言したものの、12月2日に現行の健康保険証の新規発行停止は見直さない考えを示しました。

 

<デジタル大臣記者会見の質疑>

保団連

12月2日の新規発行停止まであと3カ月になった。現行の健康保険証を廃止することについて厚労省が意見募集を行い53,028件の意見が提出された。厚労省によると「厚労省によると現行の保険証は継続すべき」、「マイナカードへの一体化に反対」との意見が大多数だった。7月のマイナ保険証利用率は約1割にとどまり、9割が現行の健康保険証を選択している。総裁選政策発表にあたり、国民・医療現場の懸念・不安に向き合い、任意のマイナ保険証と現行の健康保険証を並存させるなど、国民に選択肢を残す考えはないか。

河野大臣

マイナ保険証は医療の質の向上につながる。一人でも多くの人にマイナ保険証利用してほしい。進める上で全ての方に安心して医療を受けてもらうことも重要なのでマイナ保険証ををお持ちでない方には資格確認書をお出ししてどなたでも引き続き安心して保険診療を受けていただけるようにしている。デジタルとアナログの併用期間を設けて、最大1年間現行の健康保険証は使用可能です。病院でマイナカードを読み取れなかったとしても保険診療ができるようにしたい。マイナ保険証が使えなくなり10割負担となる病院が出ないように使い方のルールを周知していきたい。

保団連

周知広報は大事だが、12月2日で健康保険証が使えなくなるとの誤解が広がっている。これは政府がマイナ保険証の推進キャンペーンを通じて、正しい情報が国民に周知されていないことによる。資格確認書の広報もしっかりお願いしたい。また、厚労省の方でマイナ保険証が使えなくなる場合に備えてマイナ保険証保有者に紙の資格情報のお知らせ(A4)を交付すると聞いているが、それであれば健康保険証を残した上でマイナ保険証を使い方が使えるようにすれば河野大臣が推進されているデジタル化が進展すると思うがいかがか?

河野大臣

12月2日からマイナ保険証を基本とするシステムに移行する方針は変わらない。不安に思われる方には不安を払拭できるような広報をしっかりやっていきたいと思います。

 

保団連

パブリックコメント5万3千件の反対意見についてどう思うか?マイナ保険証利用率は1割にとどまる。進まない原因は?

河野大臣

昨年法改正でマイナ保険証の移行は決まっている。今回のパブコメは具体的なものを決めるためのものだ。紙の保険証は偽造・成りすましを防ぐことはできない。医療の質の向上を紙の保険証だけで進めることはできないので、マイナ保険証に移行は必要になってくる。マイナ保険証使ってもいいよという方がアンケートでもかなりたくさんいるが 病院の窓口で紙の保険証を出してくれと言われる方がたくさんいますので各医療機関に医療の質の向上のための医療DXを理解いただき進めていく必要がある。

保団連

現場の実態と少し認識が違う。厚労省はマイナキャンペーンでお金も配り、医療機関・薬局でマイナ保険証利用の声掛けはほぼされている。5月から7月の3カ月におよぶ利用促進キャンペーンにも関わらず使われない、使わなくなったというが実態だ。マイナ保険証は「メリットがない」、「不便だ」など使わない何らかの理由があるはずだ。現時点の国民の受け止めを真摯に受け止めていただき健康保険証と併存できるようにして欲しい。

河野太郎

問題を認識してしっかりマイナ保険証を使っていただけるように改善していきたい