「百害あって一利なし」河野大臣が保団連マイナトラブル調査を全否定

保団連が9月19日に公表した5月以降のマイナ保険証トラブル調査(約1万医療機関が回答)では、マイナ保険証によるトラブル割合が10%増加しており、8割の医療機関が健康保険証でトラブルを回避していることが明らかとなりました。保団連は、9月20日のデジタル大臣記者会見で、調査結果を示し、河野太郎デジタル大臣の考えを聞きました。

河野大臣は「利用者が増加してマイナ保険証トラブルが増加するのは当たり前だ」とトラブル増加自体は認めたものの、保団連のマイナトラブル調査(中間報告)は「百害あって一利なし」と調査そのものを全否定しました。さらに、マイナトラブル時に健康保険証で資格確認する医療機関の対応についても「いつまでも保険証で資格確認していたら損するのは医療機関側だ」と述べ、マイナトラブルの責任を医療現場や保団連に押し付ける態度を示しました。

<大臣会見質疑>

保団連

保団連が実施した5月以降のマイナトラブル調査では約1万医療機関から回答が寄せられ、約7割の医療機関で「トラブル・不具合があった」と報告しました。トラブル・不具合への対応として78%の医療機関が「その日に持ち合わせていた健康保険証でトラブルを回避した」と答えています。「77%の医療機関が保険証を残すべき」と回答しました。

厚労省が出した通知や審議会資料でもマイナトラブル時には「健康保険証で資格確認する」と明記しています。医療現場のマイナトラブルは減少しておらず、健康保険証を残すことが最大のトラブル回避策となっていますが、大臣のご見解はいかがですか?

河野大臣

保団連が行ったアンケート調査なるものを見ましたけども、トラブルと言っているものの中の例えば黒丸が出てくるというのはこれトラブルでもなく「仕様」でございます。

マイナンバーカードの保険証を使った方が、各病院増えてきています。1人でも問題があれば1というふうにカウントされますが、使う方が増えますからトラブルの件数が増えるのはこれ当然のことでございます。

マイナンバーカード保険証に12月2日から移行します。だんだん健康保険証が使えなくなりますので、健康保険証を使って確認をしていたら、その後は病院が非常に困ることになります。マイナポータルの画面、あるいはマイナポータルからダウンロードしたPDFファイルによって確認をする対応ができますし、過去の受診時の資格情報を使って再診の場合は確認できます。初診の場合は、資格申立書に記載していただいて保険診療を受けることができます。こうしたことをしっかりと通知をせず保険証、保険証と言っていると、12月2日以降に困る病院・医療機関が出てきますので、こういう何か保険証を残せというようなアンケートは、「百害あって一利なし」というのが今の現状でございます。

アンケートの対応のところ選択肢三つしかありませんから、本当に必要は何なのかというのがわかりません。こういうアンケートではなくて、本当に実態面でこういう問題をどう解決するのかというような現状を踏まえた12月2日以降の状況を踏まえたアンケートならば役に立つと思いますが、こういったアンケートが役に立つ私は思っていません。

保団連

アンケートの内容そのものを否定されたご回答だったと思いますが、1万医療機関という多数の医療機関から切実な、具体的事例も含めて寄せられています。5割の医療機関で「資格情報が無効」と表示され資格確認できない事態が起きている。マイナ保険証スタートから3年以上経過していますが、未だに資格確認できない事態が起きている。

所管の大臣としてどう捉えられているかお伺いしたい。

河野大臣

保険者に迅速化を図るための改善計画の策定を求めるなど、厚労省の方でも早期に状況が改善できるように取り組んでおります。資格情報が確認できない場合は先ほど申し上げたように、マイナポータルその他でも確認することができます。そういうことを現場に徹底していただきたいと思います。

保団連

厚労省が昨年7月にマイナトラブル時は健康保険証で確認するという事務通知を出していますが、大臣は事務通知を否定されることでしょうか?

河野大臣

保険証は12月2日以降新規発行がなくなります。現在でもマイナポータルの画面を確認くださいということを厚労省の資料でも言っているはずでございますので、なるべく早くマイナポータルの画面、あるいはダウンロードしたPDFファイルなどで確認するように現場しっかりやっていただきたいと思います。いつでも健康保険証に頼っていれば、12月2日以降、医療機関が困ります。

 

 

参考

河野大臣記者会見(令和6年9月20日)|デジタル庁 (digital.go.jp)