デジタル庁「マイナンバー総点検の点検対象とならなかった自治体・事務・対象人数はわからない」

政府は、昨年秋にマイナポータルに情報連携している自治体事業を対象にマイナンバー紐づけミスの「総点検」を実施しました。しかし、総点検後に長野県で新たに60件のマイナ紐づけミスが確認・公表されました。これは、長野県が政府の「総点検」対象とならなかった事業を点検対象とし、自主的に点検したことで新たな紐づけミスがみつかったものです。他の自治体での「総点検」後の対応も含めてデジタル庁の基本的な対応方針・考え方について質問しました。

点検対象外の事業数はわからない

点検対象を限定したこと、対象外となった事業数等に関して問うたところ、「昨年秋のマイナンバー情報総点検では個別データを点検すべき自治体・事務を特定したものであり、対象とならなかった自治体・事務・対象人数については、数値を持ち合わせていません。」と回答しました。つまり、点検対象の選定は各自治体任せにしていたことが新たに判明しました。デジタル庁は、マイナンバー紐づけをゼロに近づける取り組みを進めるとしながら、マイナポータルに情報連携する事業数や対象人口など全貌を把握できていません。

実施状況の報告も求めない 公表も自治体任せ

点検終了時期に関する質問に対して、デジタル庁は「原則として当該ガイドライン発出日から1年程度を目安に完了していただくことを推奨」としつつ、「あくまでも自治体等の通常業務の中での対応であるためデジタル庁への実施状況の報告を求めているものではありません。紐付け誤りが確認された際には、速やかに修正や漏えい等の有無の確認を行うとともに、自治体において公表要否を判断することとしています。」と回答しました。

つまり、1年程度を目安にしながらもデジタル庁に実施状況の報告は求めない。公表も各自治体の自主的な判断に任せているに等しいものです。11月末で1年を迎えますが、全体像が不明なままマイナンバー紐づけミスの確認作業がいつまでかかるのか不安払拭にはほど遠い状況です。

 

<デジタル庁への質問と回答>

 

保団連

昨年のマイナンバー情報総点検を経てデジタル庁として再発防止策のガイドラインを制定している。長野県のように自主点検を推奨しているのか?

デジタル庁

昨年のマイナンバー紐付け誤り事案などを踏まえ、マイナンバーと本人情報を正しく紐付ける際の方法などを示した「マイナンバー利用事務におけるマイナンバー登録事務に係る横断的なガイドライン」を策定しました。

昨年のマイナンバー情報総点検において、紐付け方法が適切であると判断され、点検対象とならなかった自治体や事務においても、情報の転記ミスによる紐付け誤りは、人手を介する以上、存在し得ることから、総点検終了後においても紐付け誤りを限りなくゼロにしていく取組が重要であるため、本ガイドラインでは、通常業務における申請時や更新時のマイナンバーの確認の徹底のほか、今回の長野県の取組のように、本人の状況を確認する機会のない事務については、業務システムに登録されているデータと住基ネットのデータを照らし合わせ、確認作業を行うこととしています。

 

保団連

長野県での新たに60件の紐づけミスが確認されたことを受けて、他自治体での自主点検が進展した折には、新たなマイナンバー紐づけミスおよび、マイナポータル等を経由しての情報閲覧・情報漏洩の可能性は否定できないと思われますがいかがでしょうか?

デジタル庁

今回の長野県の事例のように、情報の転記ミスなどによる紐付け誤りは、人手を介する以上、存在し得るため、紐付け誤りを可能な限りゼロにしていく取組が重要であり、引き続き、自治体などと連携し、情報の正確性の確保につとめてまいります。

保団連

昨年秋の国の「総点検」で適切と判断されて対象とならなかった自治体・事務・対象人数について総数を把握されていますか?

デジタル庁

マイナンバー情報総点検では個別データを点検すべき自治体・事務を特定したものであり、対象とならなかった自治体・事務・対象人数については、数値を持ち合わせていません。

 

保団連

長野県以外の自主点検の実施の有無・予定・進捗状況などはデジタル庁で把握されていますか? いつ頃までを目途に取り組みを依頼しているなど目安がありましたら教えてください。

 

デジタル庁

マイナンバー情報総点検を踏まえ、新たにマイナンバーの紐付け誤りが生じないよう、「マイナンバー利用事務におけるマイナンバー登録事務に係る横断的なガイドライン」を各自治体に発出し、申請時のマイナンバー取得、住基ネット照会実施時の基本4情報による照会の原則化や複数人での確認作業の実施体制の確保といった再発防止に向けた取り組みを示しています。

本ガイドラインにおいては、マイナポータルで閲覧可能な情報に係る事務を対象に、通常業務における定期的なマイナンバーの確認の徹底を行うこととしており、そのうち、本人の状況を確認する機会のない事務においては、業務システムに登録されているデータと住基ネットのデータを照らし合わせ、確認作業を行うことを、 原則として当該ガイドライン発出日から1年程度を目安に完了していただくことを推奨しています。

あくまでも自治体等の通常業務の中での対応であるためデジタル庁への実施状況の報告を求めているものではありません。紐付け誤りが確認された際には、速やかに修正や漏えい等の有無の確認を行うとともに、自治体において公表要否を判断することとしています。

関連記事

【9月13日河野大臣記者会見】マイナンバー総点検は不十分だった! 点検対象外で新たな紐づけミス可能性を認める – 全国保険医団体連合会 (doc-net.or.jp)