【武見厚労大臣記者会見】不安解消の努力は徹底も「保険証廃止」は堅持

武見厚労大臣は、9月3日の記者会見で「マイナ保険証を基本とする仕組みへ移行する」と政府方針を堅持しながら「メリットを感じていただき、積極的に利用してもらうために不安解消の努力を徹底したい」と述べました。

全国18の地方紙が8月に実施したマイナ保険証に関するアンケート(1万2千件)でマイナ保険証、保険証廃止に対する不安が出されているとの記者の指摘に対する答弁。

12月2日に健康保険証の新規発行を停止する方針は変更しない考えで、あくまで最大1年間の経過措置期間中をデジタルアナログの「移行期」と定義し、ようやくマイナ保険証以外の対応を広報するにすぎません。

マイナ保険証のメリットがほとんどないことについては認識を変えていません。マイナ保険証利用促進キャンペーンでなりふり構わずマイナ保険証の利用をゴリ押ししたり、保険証廃止を盾にマイナカード取得を事実上強制してきましたが、7月の利用率は11.13%と低迷しています。 マイナ保険証の利用登録も7300万人で頭打ちです。12月2日で健康保険証の新規発行停止で混乱が予想されます。

「保険証残す」が最大の不安払拭策

任意のマイナ保険証が支持されていないことは明らかです。武見大臣は「不安解消の努力を徹底する」としながらも、任意のマイナ保険証のメリットだけをことさら強調し、最大の不安払拭策である保険証存続は言及しませんでした。任意のマイナ保険証と健康保険証を並存すれば国民の不安払拭・切実な願いはかなえられます。マイナ保険証への一体化、健康保険証の廃止方針は今からでも見直すべきです。

 

 

参考:

武見大臣会見概要 |令和6年9月3日|大臣記者会見|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

 

東京新聞記者

弊社を含む全国18の地方紙が8月に実施したマイナ保険証のアンケートで1万2,000人の回答がありました。それについて2点お伺いします。現行の健康保険証廃止への支持は約2割に留まりました。マイナ保険証を使うという人でも半数近くは現行保険証との選択制を希望していました。武見大臣はこの結果をどう受け止めますか。またアンケートでは、マイナ保険証のトラブル時の対処法や要配慮者への対応があまり知られていないこともわかりました。マイナ保険証への不安や疑問の声も多く届いています。12月2日に迫った健康保険証の廃止を見直す考えはありませんか。

武見大臣

マイナ保険証は、より良い医療の提供を可能にするほか、さらに医療DXのパスポートとして様々なメリットをいち早く享受していただくためにも、マイナ保険証を基本とする仕組みへ移行することとしています。まさにアナログからデジタルへと社会の1つの基本が変わってきて、その中でデジタル化とデータサイエンスというものが、間違いなくこれからお一人お一人の医療を提供するその質に関わる研究開発の基盤になっていきます。こうしたものを考えたとき、それをしっかり国民の皆様に届ける、そしてそのための1つの重要なパスポートとしてこうしたマイナ保険証というものは極めて重要な役割を持っていると、こう認識しています。したがって、こうした仕組みへの円滑な移行に向けてデジタルとアナログの併用期間を設けるといった必要な措置を講じるとともに、国民への更なる周知広報という観点から先日開催した医療保険部会において、より国民の不安の解消に繋がるような内容の発信を行っていくことなども示しています。このプロセスに関わるやはり国民の皆様方への理解、そしてまた不安がある場合にはその不安の払しょくに向けて適切に対応していきたいと思います。貴社のアンケート結果では、情報漏えいが不安といった声が寄せられた一方で、メリットを実感された方もいらっしゃると認識しています。またより多くの皆様に、先ほど申し上げたようなメリットを感じていただき、積極的にご利用いただけるよう不安の解消にも努めていき、そして引き続きそのための努力を私としても徹底して行いたいと思います。

 

東京新聞記者

関連してもう1度聞きますが、マイナ保険証を使う、実際使っている方の中でも選択制を希望する方が半数いたというところについてもう1度お尋ねしますが、その方々は高齢の家族がいて心配だということや、読み取り機のトラブルが実際にあるというところで紙の保険証も残して欲しいという意見を寄せていらっしゃいます。不安の解消というお話しもありましたが、メリットの強調だけではそういった国民の声には届かないと思いますので、周知の在り方についてどのように不安を解消していくのかもう少し具体的にお願いします。

武見大臣

それは今申し上げた通り、メリットについても徹底してご理解いただく努力がこの時代の大きな変革期において本当に必要になってきています。それをぜひ国民の皆様方にご理解いただくとともに、この移行期というものになかなかついて行けない世代や、あるいはそういった個々の方々の事情があることも私どもは正確に把握し、この移行期における不安解消のための努力というものは徹底してやらなければならないと思っています。そうした努力については、それぞれ事務方から詳しいことはさらにお聞きいただければと思います。