平将明デジタル大臣「二重投資」理由に保険証廃止! マイナカード・マイナ保険証に巨費投入も利用率低迷しトラブルも増加

石破茂新総理は総裁選で「マイナ保険証一本化に納得しない人が多ければ、紙の保険証との併用も選択肢だ」と発言しましたが、新政権発足後、林官房長官、福岡厚労大臣、平デジタル大臣が「保険証廃止方針の堅持」を表明しました。5月以降のマイナトラブル調査を示し、トラブル回避策としても現行の健康保険証が必要との訴えも聞く耳を持たず、新政権があくまで12月に現行の健康保険証を廃止する構えです。

平将明デジタル大臣は、就任直後に「保険証廃止方針を堅持」すると表明したことを受けて、10月2日のデジタル大臣就任会見で、保団連は、「マイナ保険証と一体化されるマイナ免許証が25年3月に運用開始されるが、それでも運転免許証は残り選択制となる。なぜ、任意のマイナカード、マイナ保険証はなぜ選択制とならず、現行の健康保険証は廃止されるのか? 健康保険証を残した上で、選択制(①マイナ保険証、②健康保険証、③マイナ保険証+健康保険証)としないのか」質問しました。平将明デジタル大臣は、「選択制にすると二重投資になる」と健康保険証を予定通り廃止する考えを示しました。しかし、現行の健康保険証を発行するのに新たな投資は不要です。健康保険証を残すことが「二重投資」との発言は疑問だらけです。

健康保険証は公的医療保険制度の基盤

しかも、被保険者の保険料を原資に各保険者が被保険者に発行・交付しているため、経費は税金ではなく、保険料で賄われています。健康保険証は公的医療保険制度を円滑に運営するための基盤であり被保険者であることを確実簡便に証明するものです。受診した保険医療機関が審査支払機関に保険請求する際に必要となる保険資格情報が記載されています。

 

マイナポイント2兆円、マイナンバーシステムに総額1兆1700億円

政府がこれまでマイナンバー制度、マイナ保険証のシステム構築や普及に莫大な税金を投入してきました。マイナンバー制度にかかるシステム構築・改修等でこれまでに1兆1700億円が税金が投入されました。また、マイナカード普及のポイントキャンペーン等で2兆円もの予算が計上され、出張申請やマイナカード取得を促進するための費用も補正予算等で追加投入されてきました。また、マイナ保険証利用促進やトラブルへのシステム改修等の経費として令和5年補正予算で厚労省で887億円、総務省で899億円が計上されました。マイナ保険証を保有していない方に対して発行される資格確認書のシステム改修を含む発行経費、体制整備や人件費も含めた運用・管理コストは膨大になります。マイナ保険証トラブルが相次ぐ中で、マイナ保険証を保有している方すべてに交付される「資格情報のお知らせ」も新たなに費用が発生します。

マイナ保険証利用率1割 自治体も利用低い

会計検査院は5月に地方自治体が利用するマイナンバーによる個人情報の照会システムの利用実績が低いと指摘しています。マイナ保険証利用キャンペーンでは、マイナ保険証の利用促進として医療機関・薬局に対して補助金217億円が投入されましたが、マイナ保険証の利用率は12.43%(24年8月)にとどまっています。

 

平大臣就任記者会見(令和6年10月2日)|デジタル庁 (digital.go.jp)

(問)石破総理の総裁選について、マイナ保険証との併用も選択肢という発言について、大臣の方から全てデジタル化にするのは困るという不安があるということで、選択制を残すという趣旨だとおっしゃっておりました。資格確認書が用意されているとおっしゃいましたが、その場合保険証をデジタルとアナログということで、両方選択制ということで、健康保険証を廃止するのではなく、全く同じ内容の資格確認書を発行するコストもかかりますので、健康保険証を残せばいいのではないでしょうか。

(答)先程台湾の事例も申し上げましたが、デジタル化というのは世界どこでも避けて通れないし、いろいろな分野で避けて通れないんだろうと思います。そうすると、ソリューションとしては2つで、保険証に顔写真を入れてICチップを入れてマイナンバーと併存させるか、マイナンバーカードにくっつけていくかと私は思っていますので、それこそ2重投資になりますので、前者の選択肢は、私はないんだろうと思います。ですから、マイナンバーカードと保険証の一体型のマイナ保険証を進めていくべきだろうというふうに思います。また健康保険証には、今申し上げたように、ICチップも顔写真も入っていないので、悪用しようと思ったらかなり悪用できる仕組みにいまだになっている。これに対しても解決の処方箋を示していくことが重要だろうと思っております。

(問)マイナ免許証は完全選択制ですが、コストが2重にかかるということとの関係で随分免許証は残した形で選択制ですが、保険証自身は義務、全員が加入しなくてはならない義務なのに選択制ではないということは非常に大きな矛盾だと思いますし、河野大臣にも以前ご質問しましたが、明確な回答を得られませんでした。免許証のような方法がデジタル化がむしろ進むのではないかなと思っており、コメントをお願いしたい。また、当会の調査では、マイナ保険証の利用率が少なく、5月以降7割の医療機関でトラブル・不具合が起こっています。この現状を踏まえて、コメントをお願いします。

(答)デジタル化をしていく時には、不慣れによる不具合というのが出てくると、これは実装して回していく中で改善をされていくし、利用者の方も慣れていくということだろうと思います。これは全てのDXの現場で言えることだと思いますので、そういった観点でスケジュール通り進めさせていただきたいというふうに思っております。また、先程も繰り返しになりますが、デジタル化による利便性の向上もありますし、いわゆるデータで医療費全体を適正化していくということもあります。また、先程申し上げた時に、避難所にチェックイン・チェックアウトした時に、高齢者の方にお薬の処方を支援できるといったところもあります。是非メリットの方にも目を向けていただければと思います。

(問)マイナ保険証と保険証は二重投資になるから一つどちらかにした方がいいとのことですが、マイナ免許証は選択制です。免許証のみか、マイナ免許証のみか、もしくは両方か、と3種類フレキシブルです。なぜそのような対応を保険証でもできなかったのか、免許証との違いについて教えてください。

(答)まず是非ご理解いただきたいのは、医療にかかる社会保障全体の金額のボリューム感を是非頭に入れていただければと思います。そこで、デジタル化するときに出てくるメリットもちょっと桁が違いますので、是非その辺はご理解いただきたいと思います。