薬局でのマイナ保険証説明・相談・クレーム対応 8割超が負担  日本保険薬局が実態調査

日本保険薬局協会が10月3日に公表した調査では、マイナ保険証利活用を巡り、管理薬剤師の8割超がクレームを含む患者への説明・相談対応で負担と回答していることが分りました。調査は、会員薬局の管理薬剤師を対象に7~9月に実施。1薬局1回答で5982薬局から回答がありました。

同協会は、政府のマイナ保険証の対応に沿って普及啓発に積極的に取り組んでいる団体です。同団体の調査でも薬局現場の負担が顕著であることが浮き彫りになりました。マイナ保険証受付率が30%以上の薬局においては、「受付操作のサポート」「受付順番待ちが生じる」「毎回受付操作、同意取得が必要なこと」について、より負担となっている傾向もうかがえると分析しています。

負担や課題となる事例

1. マイナンバーカードに対する否定的な反応への対応 (約450件)

– 否定的な患者への説明は精神的にも負担が大きく、ご本人の思い込みによりクレームになることもある。
– 疑問や反対意見などのクレームを受けることもある。また小児はそもそもカードを作っていない人が多数いる。
– 説明に時間がかかり他の患者様の待ち時間延長。

2. 操作説明・サポートによる業務負担 (約350件)

– 高齢者が多く、顔認証付きカードリーダーの操作方法を毎回説明する必要があり、時間がかかる。
– カードリーダーの操作に時間がかかる人が多く、スタッフがそのサポートをしなければならないため少人数の店舗だと負担が大きい。
– 高齢者が多くカードリーダーの操作補助に人員をとられ負担になっている

3. システムの不具合・エラー対応 (約200件)

– マイナ保険証の端末がシステムトラブルで作動しない時があり、その間受付ができなかった。
– システム、ネットワークの不具合と思われるマイナ受付エラーが繰り返し発生し、不具合への対応はもちろんのこと、せっかく提示いただいた患
者さまに申し訳ないことが多発している。

4. 毎回の受付操作に対する不満対応 (約180件)

– 毎回受付操作や同意取得が必要なため、面倒くさがられることがある。
– 毎回マイナンバーカードを通すことに対する面倒さの訴えが多い。
– 保険証では提示が月1回で良かったが、マイナ保険証はなぜ毎回提示しなければならないのか、というクレームに対して、回答に困った。
– 月に複数回来局する患者に対し、毎回マイナ保険証受付しないといけないのは面倒だと言われた。
– 毎回受付操作をする事のが大変だと患者様からのクレームを受けることが何度もある。

5. 情報の更新遅延・不完全性への対応 (約150件)

– 薬剤情報や健診情報など便利な反面、確認作業が増えたことで患者さんを待たせていると実感している
– 併用薬の電子薬歴への登録は手動のため、併用チェック機能を使うのにも手間がかかる
– 直近の診療情報を確認できない部分を不便に感じる。
– 保険証が変更になったタイミングでマイナ保険証に紐づいているのが古い保険情報だった。