10月11日のデジタル大臣記者会見で保団連は「不正利用しやすいから保険証を廃止する」との平将明デジタル大臣の発言の根拠について質問しました。
医療現場での不正利用について、保険証を廃止せざるを得なくなるほどの不正利用があったのか、政府として実態調査を行ったのかなどを問いました。平大臣は不正利用の実態について、「不正利用の状況については多分公表されていると思うので、所管の厚労省にお尋ねいただきたい」と回答し、デジタル庁としては「不正利用」の実態について特段把握していないことが分かりました。
この間、保団連は厚労省に不正利用の実態把握や実態調査を行っていないことを確認しています。10月8日の大臣会見では、「将来的に不正利用が指数関数的に増加する」「穴を防がないといけない」と強調されていましたが、将来的な不正利用の可能性を強調されただけのようです。 不正利用の可能性のみを持って現行の健康保険証を廃止するのは問題があります。
<10月11日大臣会見>
保団連
大臣は、現行の健康保険証は悪意があると不正利用しやすいから廃止すると言われましたが、医療機関での保険証の不正利用がどれくらいあるか調査・把握されていますか?悪意があれば、マイナ保険証も暗証番号を他人に教えるなど不正利用は可能となりますが、どうお考えですか?
平デジタル大臣
マイナ保険証であっても暗証番号を他人に教えたらアクセスできるんじゃないかというご指摘ですが、質問の趣旨がよくわかりません。そもそもなんで人に暗証番号を教えるのかということもわかりませんし、暗証番号があるっていうことはですね悪意のある人が不正を働くときにもう一段の安全性を評価された状態であります。本質的に紙の保険証とマイナ保険証で暗証番号の有無で大きく違う。
顔写真があるない、ICチップがあるないという点では、悪意を持って不正に利用しようとしてる人からすると、そういった行為をしにくくなるっていうのは明白だろうと思います。また不正利用の状況については多分公表されていると思いますが、所管の厚労省にお尋ねいただきたいと思います。
保団連
厚労省には何度も不正利用が確認できてるか聞いてますが、厚労省は「調査してない」との回答です。一部の保険組合が調査しているが、不正利用はわずかであると聞いています。
デジタル庁として、何か新しい膨大な不正利用が確認されたなど事実があれば、対応していくことは理解しますが、医療現場では不正利用はあまり聞いたことない。
大臣から新たなご見解、ご見識、民間の調査などあるのか、医療現場と大臣との認識のずれを感じる。
平デジタル大臣
この間私が申し上げたのは、まず一つは、その悪意を持って不正に利用しようという人から見ると、現行の保険証は、顔写真もないし、ICチップもないので不正利用しやすいと、もしくは不正の温床になる可能性が極めて高いということなのでデジタル大臣としてはそういうことがわかっていながら、それを放置するのではなく、未然に穴を防ぐためにデジタル化を進めていく必要があるという話は申し上げた。
さらには医療情報の連携をすることによって将来的にはですね国民の健康維持、またいわゆる医療の発展にも資することになりますし、母数が40兆円ある医療費も最適化される可能性もあるので、そのためにデジタル化を強力に進めていく必要がある。