【電子処方箋の発行停止】モデル事業で医薬品誤表示は指摘されていた

 厚労省は、12月19日、医療機関・薬局における設定誤りにより、電子処方箋を受ける薬局側のシステムで、医師の処方と異なる医薬品名が表示される事例が7件確認されたことを公表し、電子処方箋の発行を停止すると発表しました。医師の意図と異なる医薬品の処方を防ぐため、医療機関、薬局、システムベンダーに対してシステムの点検を依頼しました。12月20日から24日までの5日間、医療機関からの電子処方箋の発行を停止されます。

福岡厚労大臣は12月20日の記者会見で「医療機関または薬局において事前に確認することができたため、実際の調剤には至っていないものの健康被害が発生しうる、大変重要なものと受け止めている」と述べました。

【停止期間】

令和6年12月20日(金)8時~12月24日(火)(予定)

【停止する機能】

令和6年12月24日(火)まで全ての医療機関において電子処方箋管理サービスへの接続が遮断され、それによって以下のような影響が生じます。

・電子処方箋の発行・変更・取消ができなくなる

・紙の処方箋(引換番号あり)の発行ができなくなる(引換番号がつかない通常の紙処方箋は発行可能です)

・重複投薬等チェックができなくなる

・薬剤情報閲覧ができなくなる(処方・調剤情報の閲覧要求を同時に行った場合)

【参考】

電子処方箋管理サービス – 【厚生労働省からの重要なお知らせ】電子処方箋管理サービスの一時停止について

電子処方箋システム一斉点検の実施について|厚生労働省

【電子処方箋トラブル】紐づけミスで異なる医薬品が表示される – 全国保険医団体連合会

 

モデル事業で報告されたトラブル

厚労省は令和5年3月に「オンライン資格確認等システムの基盤を活用した電子処方箋に関するモデル事業一式中間報告書」を公表しており、準備時点や運用開始後に生じた課題や障害について「代表的なもの」として、準備で4点、運用で6点を上げていましたが、今回の紐づけミスにより誤表示されたケースは、報告書でも用法コードの紐づけの不備により、薬局で受領した処方箋情報と電子処方箋管理サービスに登録された情報が異なる事象が発生し、現場に混乱を招いた」指摘していました。

誤処方に発展しかねない重大なトラブルに直面し一斉点検を開始することになりましたが、以前から指摘されていた問題点を改善することなくひたすら推進してきた厚労省に重大な瑕疵があります。
電子処方箋は診療行為そのものであり、 エラーやトラブルは診療行為の停滞・中止に留まりません。正確・安全、迅速な処方・調剤に支障をきたすとなれば、患者の医療の質の低下、さらには医療安全に直結します。電子処方箋一斉点検は遅きに失した対応を言わざるを得ません。電子処方箋推進は一旦立ち止まるべきです。