厚労省作成「マイナ保険証の利用状況」が前月から3分の1に激減?

6月21日医療保険部会

7月17日中医協

前回はマイナカード保有者の3分の1がマイナ保険証を利用

6月21日の医療保険部会に提出された厚労省作成資料では、マイナ保険証の利用状況としてマイナカード保有者(9238万人)の約3分の1と報告されていました。これは5月に厚労省が実施したウェブ調査結果(サンプル2000)において、「マイナンバーカード保有者の約3人に1人(33.0%)が健康保険証として利用したことがある」と回答したことを受けて棒グラフを作成していますが、棒グラフの長さが3分の1にあたる3000万人がマイナ保険証を利用したかのように作図していました。

厚労省担当官も「マイナ保険証を「利用したことがある」と回答した方についてみると、約73.9%、約4人に3人がマイナ保険証を「(今後も)利用したい」と考えている」とまで記載しウェブ調査の結果を強調していました。

今回はマイナカード保有者の9分の1

ところが7月17日に中医協で公表された資料では、厚労省が人数ベースで名寄せして集計した結果、6月のマイナ保険証の利用人数は1010万人であることがわかりました。

マイナ保険証の利用件数は6月が過去最高値ですが、マイナカード保有者の9分の1(11%)に過ぎないことが分りました。厚労省のウェブ調査では3分の1(33%)としてきたことと大きな乖離があります。

河野太郎デジタル大臣は大臣記者会見等で厚労省のウェブ調査を引き合いに出し、マイナ保険証の利用率低迷の原因は「医療機関が保険証持参の呼び掛けにある」と述べ医療機関に責任を押し付けてきました。

厚労省が実施したウェブ調査は精度が悪いものでした。

3倍の開きなのグラフの長さは同じ ひどい印象操作

ところが厚労省が7月17日中医協で示した資料では「④マイナ保険証の利用状況」で棒グラフの長さは、前回とほぼ同じ幅になってます。前回はマイナカード保有者の3分の1(約3000万人)がマイナ保険証を利用したとのウェブ調査をグラフ化しています。今回は1010万人という実数値として公表されており、マイナカード保有者(9243万人)の9分の1に修正すべきです。

厚労省は「一度でもマイナ保険証を利用したことがある方の数字だから齟齬はない」と言い逃れするかもしれません。しかし、仮にそうだとすれば、3000万人が一度はマイナ保険証利用したが、今月は1010万人しか利用していないことになります。つまり、利用しなくなった方が2000万人もいることになります。

7月17日中医協資料では、前回と同じ棒グラフの長さが同じであるため、マイナカード保有者の3分の1はマイナ保険証を利用しているとの誤解を与えます。印象操作と言わざるを得ません。

厚労省は、6月21日の医療保険部会でマイナ保険証利用促進の補助金倍増を決めました。病院に最大40万円、診療所・薬局に最大20万円のばら撒きます。杜撰なウェブ調査を元に補助金倍増を決めたとしたら大問題です。