
保団連が3月4日の衆議院予算採決直後に呼び掛けた高額療養費制度の限度額引き上げ撤回を求めるオンライン署名は3月13日までに約15万人の賛同が寄せられています。
3月13日、竹田智雄会長、細部千晴理事はがん患者の水戸部ゆうこさんとともに、15万筆の署名を厚労省保険局高齢者医療課の安中健課長に提出しました。課長とのやり取りは以下の通りです。
<厚労省とのやり取り>
竹田智雄 保団連会長
この制度の本格的な精神なんて、命を守るための制度を守ろうとし、そこで命がこぼれ落ちるっていう命を犠牲にすることがてはならない。私たちは財源提案しているが、必ずどこかから補填することができる。医療費の中の付け替えではなく、ましてや患者さん本人に負担させるのではなく、ちゃんと財源を確保できる道があると思う。ぜひ制度を守るため、命を犠牲にすることがないようしてほしい。
水戸部ゆうこ(キャンサー)
がんになる人が多くなってきている中、希望を持てる国にしていっていただきたい。やはり苦しんでいる人をより苦しめるような制度改革にならないように、みんなが安心して、若い人たちも子供が高校生中学生いるが、希望が持てるようにしてほしい。
安中健 保険局高齢者医療課課長
この制度は大事な制度だし、医療はしっかり守っていかなきゃいけない。あの医療費が増えてくる中、やはりそれを保険料から窓口負担がどちらかという構造の中、どういうバランスでやっていくのかが大事だ。そのために意見を聞いてやっていくということが大事だ。生活ということに関していえば、医療はあくまで生活の一部を支えるものであり、教育や家賃などさまざまな課題がある。医療の政策、あるいは医療の自己負担の問題だけですべてが解決するわけではないので、今まさに高校無償化の議論にもあるが、そういったところでの家計の支えというのがあっていうの、トータルで負担のあり方なのかなと思っている。いろんな方の意見を聞いて、この医療の制度をどうやってつなげていくのかが次世代の安心につながる。我々が使う医療サービスの費用が将来世代に付け回しすることは、やってはいけないと思う。今回、総理もいったん立ち止まってという話があったので、改めてしっかりと検討していきたい。
<署名について>
高額療養費の負担限度額引き上げを含む2025年度の政府予算案が3月4日、自民、公明、維新の賛成で衆議院を通過したことを受け、緊急で引き上げ撤回を求める署名を開始しました。
開始後わずか48時間で10万筆を超える賛同をいただき、同日記者会見を行いました。
翌3月7日には、石破首相が高額療養費の負担上限額の見直しについて、予定していた今年8月の引き上げの「見合わせ」を表明しましたが、「今年の秋までにあらためて方針を検討し、(引き上げを)決定する」とも発言しており、7月の参院選後に、また同じような引き上げ案を出してくる可能性があります。
私たちは、再提案の道を残す「見送り」ではなく、あくまでも「白紙撤回」を求め、引き続き署名の継続をいたします。引き続き、応援をよろしくお願いします。
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【オンライン署名を始めた経緯】
高額療養費の負担限度額引き上げを含む2025年度の政府予算案が3月4日、自民、公明、維新の賛成で衆議院を通過したことを受け、緊急で引き上げ撤回を求める署名を開始しました。
当事者、患者団体、医療関係者から引き上げの全面凍結・白紙撤回を求める世論が急速に広まる中、改悪決定を強行した石破政権の非人道的な行為は許されません。
石破茂首相は「物価上昇を踏まえ、今年8月からの限度額引き上げは実施する」と答弁しましたが、物価上昇に賃金が追い付かず家計も厳しい状況にあります。また、重篤な疾患患者は闘病と就労制限を余儀なくされている方が多く、高い治療費の支払いでギリギリの生活が強いられています。本来であれば、物価上昇分を考慮して患者の負担を減らすべきです。
反対世論の広がりに応じて小出しに修正を繰り返してきました。高額療養費引き上げの「一時的な凍結による再検討」でさえ決断できない石破政権は、重篤な疾患で闘病を続ける患者の命を蔑ろにし、弄ぶものです。あくまで8月実施を強行することは「治療を諦めろ」と患者に迫ることに等しいものです。
当会が子どもを持つがん患者を対象に実施した調査(N=423人)では限度額が引き上げられた場合、多数回該当が「あり」「なし」ともに4割が「治療中断」、6割が「治療回数減」を考えると答えており、受療行動へ大きな影響を及ぼすことが示されました。高額療養費制度は、がん患者をはじめ重篤な患者にとってまさに命綱であり、今回の制度「見直し」は、命を断ち切るに等しいものです。
国会審議を通じて、厚労省は、制度利用者の収入減少、医療費支出、受診抑制を含む影響など調査を一切実施していない、データも持ち合わせていないことが分かりました。それどころか多数回該当を据え置いた政府修正案でも1950億円の受診抑制を見込むなど命を蔑ろにする姿勢が露わになりました。
受診抑制を前提とし、患者の命への責任も放棄する政府に制度改悪を提案する資格はありません。高額療養費制度の限度額引き上げは改めて白紙撤回すること強く求めます。