【社会保障改悪の自公維3党協議】日本維新の会が28有効成分の薬の保険給付外し迫る

4月17日に開かれた社会保障改革に関する自民党、公明党、日本維新の会の3党協議で、日本維新の会はOTC類似薬を保険給付から除外する具体的な薬剤名として28有効成分(薬剤費の合計は1543億円)を示しました。リスト化された医薬品名は猪瀬直樹参議院議員が基準「OTC医薬品と1日最大用量が同じOTC類似薬」を示して厚労省医薬局に薬剤統計データから抽出させたものです。 猪瀬氏のNOTEで公表されています。

薬剤費が多いものとしては、皮膚保湿剤のヘパリン類似物質(544億円)、制酸剤の酸化マグネシウム(231億円)、アレルギー性疾患治療剤のフェキソフェナジン(203億円)と治療の一環として日常医療で広く患者に使われているものも含まれます。

維新 最大1兆円の保険給付外しを狙う

28有効成分のリストからは、漢方などの単味ではない複合剤や一日最大容量がOTC薬(市販薬)を上回る薬剤「例:カロナール(解熱)やメジコン(咳止め)」は除外されていますが、今回示された一定基準から機械的に抽出したリストから外れたにすぎません。

猪瀬氏は「全部で1兆円くらいとの試算を示したが、まずとっかかりとしてはこのあたりから進めたらどうか。厚労委員会でも度々質疑しているが、成分も用量も同じならリスクも同じはず(4/17NOTE)」と述べており、日本維新の会が提案しているOTC類似薬の保険給付外しの対象から除外されたわけではありません。

患者負担激増 後発品市販薬購入だと8.7倍

28有効成分の薬剤を保険給付から外した場合、現在治療中の患者にどのような影響が生じるでしょうか? 保険給付の対象から外されると地方自治体が実施している子ども医療費助成制度や国の難病公費医療なども助成対象から外されてしまいます。患者は治療に必要な薬剤を市販薬として購入せざるを得なくなりますが、同一有効成分の市販薬が医療用医薬品の薬価を大きく上回る傾向にあるためかなりの患者負担増になります。

薬剤費が544億円と最も影響が大きいと考えられるヘパリン類似物質(ヒルドイドクリーム0.3%)を保険外しした場合にどれくらいの影響が生じるか簡易的に試算しました。

 

薬剤費(年間):544億円

<日医工 後発品の場合>
医療用医薬品 : ヘパリン類似物質 (ヘパリン類似物質油性クリーム0.3%「日医工」)

ヒルドイドクリーム0.3%の薬価:3.7円/g

1本(チューブ)25g入りのクリームだと 3.7円×25g=92.5円

数量(本):544億円÷92.5円= 5億8810万本

<日医工 準先発品の場合>
医療用医薬品 : ヒルドイド (ヒルドイドクリーム0.3% 他)
ヒルドイドクリーム0.3%の薬価:18.2円/g

1本(チューブ)25g入りのクリームだと 18.2円×25g=455円

544億円÷455円=1億1956万本

<OTC薬(市販品)の価格>

従来保険で処方されていたが、完全に自費になった場合、患者さんは市販品の価格で購入することになります。先発品で3倍、後発品で8.7倍近い負担増になります。

保険(後発品)92.5円 ⇒ 市販品(後発品) 800円

ヘパリン類似物質油性クリーム0.3% | 処方箋なしで購入可能な医療用医薬品

保険(準先発品)455円 ⇒ 市販品(先発品) 1200円

ヒルドイドソフト軟膏0.3% | 処方箋なしで購入可能な医療用医薬品