参議院選挙に関する保険医の要求

私たちは国民皆保険を守り、地域医療の発展、前進に取り組んできました。今般の参議院選挙にあたり、医療・社会保障の充実と国民の暮らし、雇用の安定、平和を希求する立場から下記事項を要望します。

 

防衛費倍増を中止し、社会保障抑制から充実に転換を

1.防衛費の大幅増額、防衛増税を中止し、財源を国民の生活・生業の再建や社会保障費の充実に回すこと

2.新自由主義に基づく経済・財政運営から脱却し、所得再分配機能を回復させ、格差貧困を解消すること

3.大企業の社会的責任を明確にし、雇用を改善し、勤労所得を高め景気を回復させること

4.応能負担の原則に基づく法人税、所得税、社会保険料の負担を確立すること

 

負担増、保険給付外し

1.「少子化対策」を口実にした医療・介護の負担増、利用者負担増計画は中止すること

2.高額療養費制度の限度額引き上げを白紙撤回すること

3.OTC類似薬(医療用医薬品)の保険給付外しは行わないこと

4.後発医薬品がある先発医薬品(長期収載品)の保険外しを中止すること

 

診療報酬、経営危機打開

1.2026年度改定において、物価高騰、賃上げ、感染症対策充実のため、初・再診料等、入院基本料等の基本診療料を大幅に引き上げること。

2.2026年度改定を待たずに、期中改定を実施し、基本診療料を中心に診療報酬の大幅な引き上げや財政措置を実施すること。

 

健康保険証、医療DX

1.健康保険証の新規発行停止を撤回し、復活させること。オンライン資格確認義務化、オンライン請求の実質義務化を撤回すること

2.電子処方箋、電子カルテの標準化、診療報酬改定DXはじめ、「医療DX工程」における整備目標期限について義務化しないこと

3.給付抑制を目的とするマイナンバー制度は中止すること

 

医療提供体制

1.新たな地域医療構想・ガイドラインの策定では、病床・病院の削減、医療費抑制ありきではなく、住み慣れた地域で最期まで安心してすごせる医療提供体制の確保を基本理念に据えること

2.絶対的医師不足を解消するとともに医師の働き方改革を実効性あるものとすること

3.医師多数区域での開業規制や「負の動機づけ」となる診療報酬は導入しないこと

4.医師確保策は規制的手法ではなく、インセンティブ方式を基調とすること

 

薬価制度

1.医薬品の承認と価格設定を透明化し、高薬価構造を是正すること。「新薬創出・適応外薬解消等促進加算」を撤廃し、後発品のない先発品の薬価を引き下げること

2.政府の責任で、安全性が確保された医薬品が、安定供給され続けるよう早急に対策を講じること

3.医薬品供給を不安定化させる薬価中間年改定は廃止・改善し、新薬の薬価算定過程を透明化し適正化すること

 

歯科医療

1.歯科医療費を総枠拡大し、保険で良い歯科医療を実現すること

 

子ども医療、妊産婦、福祉、災害

1.国として18歳年度末までを対象とする医療費窓口負担無料制度を早期に創設すること

2.妊産婦の医療費を無料化すること

3. 補聴器助成制度を創設・拡充すること

4.自治体単独で実施する医療費助成制度に対する国保国庫補助金のペナルティを廃止すること

5.地震・豪雨をはじめ自然災害による被災者の医療・介護の自己負担免除と保険料減免を国の責任で実現すること。被災者生活再建支援制度の拡充、被災医療機関への支援を国の責任で行うこと

 

感染症対策

1.医療機関・介護事業所等の感染拡大防止対策費を国が財政措置すること。

2.ワクチンで予防できる疾患はワクチンで防ぐことが感染防御の原則であり、国が責任をもってワクチン供給体制の安定化を図ること。

3.予防接種法に基づく定期予防接種に要する経費は、A類・B類に関わらず全額国が負担すること。

4.ワクチン接種後に発生した健康被害に対する相談窓口の拡充及び健康被害補償の充実、原因分析、並びに多様な症状を呈する患者さんの治療や相談支援体制の拡充を図ること

 

審査、指導、監査、適時調査

1.行政手続法の趣旨に則り、指導、監査、適時調査は、保険医と患者の人権が守られることを最優先とすること

2.審査は患者の個別性、多様性に応じた診療ができるよう医師の裁量権を尊重すること

 

消費税、生活保護

1.景気・経済の立て直しに向けて、当面、消費税率をただちに5%に減税すること。インボイス制度は中止すること

2.医療機関で発生している消費税損税について、「ゼロ税率」(免税)の適用により解消すること

3.生活保護の捕捉率を引き上げること。生活保護基準の改悪、医療扶助の自己負担導入などを行わないこと。この間引き下げた支給水準を元に戻すとともに、老齢加算を復活すること

 

原発、沖縄、核兵器、憲法

1.原発の再稼働、新増設・核燃サイクルをやめ、既存の原発は速やかに廃炉にすること。原発からの撤退を決断し、再生可能エネルギー中心の政策に転換すること

2.普天間基地をただちに撤去し、沖縄・辺野古への新基地建設・土砂投入をやめること

3.核兵器禁止条約を批准し、戦争被爆国として核兵器廃絶を目指す国際世論をリードする役割を果たすこと

4.平和と民主主義の日本国憲法の理念を守り、憲法9条への自衛隊明記をはじめとする憲法「改正」発議や国民投票は行わないこと