
資格確認書の再発行で健保組合が高額な手数料を徴収している問題について、6月2日参議院予算委員会で石破茂首相「再発行に1万円もかかるはずはない」との認識を示しました。
立憲民主党の石垣のりこ参議院議員の質問に対し、石破首相は、「報道でそのようなことを承知している。なくしちゃったということで再発行するときに1万円もかかるはずはないのであって、その意味は一体何なのかということは政府、厚生労働省においても認識している。そんな観点から通知を発出したと承知している。」と答弁しました。
組合で了承が得られれば1万円でもいいのか
福岡資麿厚生労働大臣は「資格確認の再発行の手数料を被保険者に求めている健康保険組合があるということは事実だが、その再発行費用は社会通念上過大なものとならないように留意する必要がある。ただその水準というのはそれぞれ一律に決められるものではないと考えており、組合会で了承を得ることが必要とされている。このことを各健康保険組合に対してもお示しをしている」と答弁しました。
石垣のりこ議員は「組合で了承が得られれば1万円でもいいのかという話になってしまう。マイナ保険証にすると紛失したときも再発行に時間がかかる」と批判。その上で、世田谷区と渋谷区は、国民健康保険加入者全員に資格確認書を送付することに触れて「マイナ保険証にすると紛失したときも再発行に時間がかかるし、1枚に集約してしまうと、紛失時に本人確認書類がなくて困る。マイナ免許証と同様に保険証も選べる形にするのが、本当に便利だし、やっぱり命を守る保険証として本来の役割を私は果たすのではないか」と指摘しました。
参議院予算委員会(6月2日)
石垣のりこ 参議院議員
マイナ保険証について伺います。マイナ保険証の2025年問題が今問題になっているが石破総理、このマイナ保険証の2025年問題をご存知でしたか?
石破茂 内閣総理大臣
この問題、すなわちそのカード自体について10年の有効期限がマイナンバーカードにはございます。またマイナ保険証にも活用されております電子証明書について5年の有効期限設定されている。これらの更新件数が2025年度には2024年度の2.9倍に増加すると、これが2025年問題であると承知している。
石垣のりこ 参議院議員
普段何も見ずに話される総理が紙を見て話されていたのでもしかしたらあまりご存知じゃなかったのかもしれないなと思いながら伺った。
特別養護老人ホームなどの施設に入所する際に保健所施設が預かったりする。しかし、マイナ保険証になってマイナンバーカードを預かるわけにはいかないので資格確認書の提出などが求められる。国保は無料だが、健康保険組合の中には手数料が1万円のところもある。このように高額な手数料がかかる健康保険組合があるということを石破総理ご存知か。
石破茂 内閣総理大臣
報道でそのようなことを承知している。なくしちゃったということで再発行するときに1万円もかかるはずはないのであって、その意味は一体何なのかということは政府、厚生労働省においても認識している。そんな観点から通知を発出したと承知している。
石垣のりこ 参議院議員
「社会通念上過大なものとならないように留意する」という通知は出ているが、その社会通念上過大な金額とは一体いくらを想定しているのか。これ厚労大臣に伺いたい。
福岡資麿 厚生労働大臣
委員ご承知の通り健康保険組合でもこの資格確認書これ初回発行や更新の手数料は当然無料だ。例えば扶養されているご両親の方が入所施設に入られて資格確認書を最初に求められる、それは当然無料で発行されるものだということをまず前提として申し上げさせていただきたい。
資格確認の再発行の手数料を被保険者に求めている健康保険組合があるということは事実だが、その再発行費用は社会通念上過大なものとならないように留意する必要がある。ただその水準というのはそれぞれ一律に決められるものではないと考えており、組合会で了承を得ることが必要とされている。このことを各健康保険組合に対してもお示しをしている。そういった観点で資格確認書でもこれまで通り医療が受けられるように皆様方の不安に丁寧に対応してまいりたい。
石垣のりこ 参議院議員
組合で了承が得られれば1万円でもいいのかという話になってしまう。マイナ保険証にすると紛失したときも再発行に時間がかかる。世田谷区と渋谷区は、国民健康保険加入者全員に資格確認書を送付することにした。福岡大臣、なぜこのような判断をされたと思うか。
福岡資麿 厚生労働大臣
資格確認書は法律上、被保険者が電子資格確認を行うことができない状況にあるときに交付するとされている。その上で特に75歳以上の後期高齢者について、新たな機器の取り扱いに不慣れである等の理由でマイナ保険証への移行に一定の期間を要する蓋然性が一般的に高いと考えられるため、マイナ保険証の保有状況に関わらず資格確認書を職権交付する暫定運用を行うこととしている。国民健康保険の被保険者には様々な年代属性の方が含まれておりましてそうした状況にはないと考えている。
渋谷、世田谷の両区からマイナ保険証の利用率が低い中で国民健康保険の保険証の有効期限が到来することにより、混乱が生じることを懸念して被保険者全員に資格確認書を交付する方針であると承っているが、制度の趣旨にのっとって適切に運用がなされるように努めてまいりたい。
石垣のりこ 参議院議員
保険証があった方が皆さんの事務手続きも楽ですよね。ちゃんと選べるっていうことがきちんとなされていないというのが今非常に問題だ。
マイナ保険証にすると紛失したときも再発行に時間がかかるし、1枚に集約してしまうと、紛失時に本人確認書類がなくて困るということもある。マイナ免許証の場合は、免許証だけ既存の免許証マイナ免許証だけが既存の免許証だけか両方持てるという3通りの持ち方を選べるようになっている。これ本当に保険証も、選べる形にするのが、これはもう事務の皆さんにとっても医療関係の皆さんにとってもそして使う私達にとっても、本当に便利だし、こちらの方がやっぱり命を守る保険証として本来の役割を私は果たすのではないかと思うが、総理の見解を伺いたい。
福岡資麿 厚生労働大臣
まずマイナ保険証は従来の保険証にはないメリットとして本人の健康医療情報を活用した適切な医療を受けられる増すことがあるためマイナ保険証を基本とする仕組みに移行したところだ。
その上で保険証からの切り替えに伴いまして国民の方々の不安の声に丁寧に対応するため再熱最大1年間は発行済みの保険証は使用でき、マイナ保険証をお持ちでない方は申請によらず資格確認書を交付する。またマイナ保険証をお持ちの要配慮者には、申請に基づき資格確認書を交付するといった措置を講じました他、保険証の切り替えに伴うマイナ保険証や資格確認書の利用の周知広報など国民の皆様に不利益が生じないように各種取り組みを行っている。
ご指摘の従来の保険証を発行し続けることは、マイナ保険証を基本とする仕組みへの円滑な移行や発行事務コストをこういった観点からも望ましくないと考えている。
石垣のりこ 参議院議員
そもそも皆保険制度に必ずこの義務化されていないマイナンバーカードを使うこと自体の制度設計の問題がある。この点に関してはまた改めて機会を見つけて質問をしていきたい。