
厚労省は社会保障審議会医療保険部会の下、第1回の「高額療養費制度の在り方に関する専門委員会」を5月26日に開催しました。委員会には患者団体から、全国がん患者団体連合会(全がん連)の天野慎介理事長と日本難病・疾病団体協議会(JPA)の大黒宏司代表理事が参加しました。委員長は同部会の部長を務める田辺国昭・東京大学大学院教授が就任しました。
受診抑制による重症化を懸念
天野理事長は、制度利用者の費用負担が家計に与える影響などを分析、考慮することを求める立場で発言しました。大黒代表理事は見直し案について、受診抑制による医療費抑制効果(長瀬効果)として2,270億円を見込んでいたことに触れ、「医療費負担を考慮して最適な医療から離れれば障害を引き起こす可能性がある。重症化や障害の発生は不可逆的に起こり、元に戻せないこともある」と懸念を表明しました。
ヒアリング実施・患者モデルケース提示へ
委員からは、当事者や患者団体へのヒアリングやデータに基づいた議論の必要性を訴える声が上がった一方で、「一定の引き上げは行わざるを得ない」といった意見も出ました。委員会に出席した厚労省の鹿沼均保険局長は、さまざまな関係者からのヒアリングと、医療統計を見ながらさまざまな患者のモデルケースをデータとして丁寧に作ることを考えていると述べました。
専門委の結論として最終的に一つの案にまとめるのか、それとも複数案を提示するのかなどは未定となっています。