骨太の方針2025(OTC類似薬保険適用除外)
石破内閣は、6月13日、「経済財政運営と改革の基本方針2025 ~「今日より明日はよくなる」と実感できる社会へ~」(骨太方針2025)を閣議決定しました。
OTC類似薬の保険給付の在り方の見直し(=OTC類似薬の保険適用除外)の記載は、6月11日に自民党・公明党・日本維新の会の3党で合意した内容を要約したものです。25年年末の予算編成過程までに検討し、早期に実現可能なものは2026年から実行するというものです。「早期に実現可能」な医療用医薬品はありません。注釈で「一定配慮」が明記されましたが、保険給付から除外し患者に負担を強いる方針は明確です。
市販薬は処方薬に比べて価格が各段に高く、患者負担は大幅に増えます。多くの医療機関が市販薬服用で副作用が出たり、重症化して来院した患者を経験しています。自治体独自の子ども医療費助成制度、難病など公費負担医療の助成対象外ともなります。少子化対策に逆行するとともに、難病患者などは命に直接関わる事態ともなりかねません。保団連は、患者の命健康に多大な影響を及ぼすOTC類似薬の保険適用除外に強く反対します。
骨太方針2025・OTC類似薬箇所抜粋
持続可能な社会保障制度のための改革を実行し、現役世代の保険料負担を含む国民負担の軽減を実現するため、OTC類似薬の保険給付の在り方の見直し(注釈208)や、地域フォーミュラリの全国展開、新たな地域医療構想に向けた病床削減、医療DXを通じた効率的で質の高い医療の実現、現役世代に負担が偏りがちな構造の見直しによる応能負担の徹底、がんを含む生活習慣病の重症化予防とデータヘルスの推進などの改革について、引き続き行われる社会保障改革に関する議論の状況も踏まえ、2025 年末までの予算編成過程で十分な検討を行い、早期に実現が可能なものについて、2026 年度から実行する。
注釈208
医療機関における必要な受診を確保し、こどもや慢性疾患を抱えている方、低所得の方の患者負担などに配慮しつつ、個別品目に関する対応について適正使用の取組の検討や、セルフメディケーション推進の観点からの更なる医薬品・検査薬のスイッチOTC化に向けた実効的な方策の検討を含む。
参考
OTC類似薬保険適用除外(自民党・公明党・日本維新の会の3党合意・6月11日)
類似のOTC医薬品が存在する医療用医薬品(OTC類似薬)の保険給付のあり方の見直しについては、医療の質やアクセスの確保、患者の利便性に配慮しつつ、医療保険制度の持続可能性確保を目指すことを基本とし、2025年末までの予算編成過程で十分な検討を行い、早期に実現可能なものについて令和8年度から実施する。その際、医療機関における必要な受診を確保し、こどもや慢性疾患を抱えている方、低所得の方の患者負担などに配慮しつつ、成分や用量がOTC医薬品と同等のOTC類似薬をはじめとするOTC類似薬一般について保険給付の見直しの早期実施を目指す。その中で、個別改定に関する対応についても、これまでのビタミン剤やうがい薬、失費薬に関する対応を踏まえ、適正使用の取り組みを検討する。あわせて、セルフメディケーション推進の観点から、スイッチOTC化に係る政府目標(※)の達成に向けた取り組みを着実に進めるとともに、夏以降、当初の医師の診断や処方を前提にしつつ、症状の安定している患者にかかる定期的な医薬品・検査薬のスイッチOTC化に向けて、制度面での必要な対応を含め、更なる実効的な方策を検討する。※令和5年度末時点で海外2カ国以上でスイッチOTC化されている医薬品のうち、本邦でスイッチOTC化されていない医薬品約60成分を令和8年度末までにOTC化する。