
通常国会で高額療養費制度の見直しの是非が大きく取り上げられた。がん患者などの反対をうけ与党(自民、公明)は改悪を見送ったものの、骨太方針2025では、「高額療養費制度に関わって、長期療養患者などの意見を丁寧に聴いた上で、秋までに方針を決定する」とした。新たな方針は秋までに再検討される見込みで、高額療養費制度の在り方に関する専門家委員会で患者団体から引き上げ反対が相次いだ。
参院選で支持を受けた政党の姿勢は今後の方針決定に影響を及ぼす。現行の負担上限額でも、制度利用者のうち17%は、収入に占める医療費支出の割合が破滅的に高い状況にあると指摘されている。また、副作用や合併症などで計画通りに治療が進まないことで月の支払額に幅が生じ、年3回の上限額超過があった際の負担軽減措置(多数回該当)が適用されないケースなどもある。
見直しに野党で賛否
国民民主党は「70歳以上の自己負担限度額の上限と外来特例を見直す」とした。日本維新の会は明言を避けつつも、限度額の所得区分判定の見直しに積極的だ。
立憲民主党は「今年秋までという短期間でなく、1年間程度、丁寧に時間をかけて再検討する。その際、高額療養費の自己負担限度額の引き上げは行わない」「治療が長期にわたる患者の負担軽減を図るため、高額療養費制度の拡充」を目指すとしているが、「軽症患者の医療費を優先して見直す」と併記した。外来特例や薬剤自己負担の見直しなどが懸念される。日本共産党と社会民主党は見直し自体に反対を表明した。
立憲民主党
- 治療が長期にわたる患者の負担軽減を図るため、高額療養費制度の拡充を目指します。
- 高額療養費制度の見直しについては、2025年秋までという短期間でなく、1年間程度、丁寧に時間をかけて再検討します。患者団体の方々に政策決定に参加していただくことにより、患者団体の意向に沿った見直し案を決定します。
- 高額療養費の自己負担限度額の引き上げは行いません。まずは、その代わりに軽症患者の医療費を優先して見直します。
国民民主党
・高額療養費における70歳以上の自己負担限度額の上限と外来特例を見直します
2025 政策パンフレット P.40 導入_P1-2_0619_A
日本共産党
自公政権が強行を狙った高額療養費の患者負担増は、国民の世論と運動により「凍結」させました。ところが、自公と維新は「医療費4兆円削減」の合意を結び、高齢者の医療費負担増や医薬品の保険外しなど、医療制度の大改悪の検討を始めています。――高齢者医療の2割負担・3割負担の対象拡大、高額療養費の負担増案“復活”などの改悪をやめさせ、高すぎる窓口負担の軽減・無料化をすすめます。
2025年参議院選挙基本政策/物価高騰から暮らしを守り、平和で希望がもてる新しい日本を | 日本共産党
※社民党とれいわ新選組は公約に明記がありませんが、保団連の参院選政党アンケートの設問「高額療養費制度について患者負担増を行わないこと」に対して賛成を表明されています