【厚労大臣会見】後期高齢者も来年3月まで保険証で受診できる 自治体・医療機関に通知

26年3月までの暫定的な取扱いは後期高齢にも適用 8月4日に通知を発出

福岡資麿厚生労働大臣は8月5日の記者会見で、後期高齢者医療制度の加入者も国保加入者と同様、2026年3月末まで紙の健康保険証で受診できると明らかにしました。保団連の質問への回答で、6月27日付の事務連絡で示した暫定的な取扱いを後期高齢の加入者約2,000万人にも適用するとしたものです。また、この取扱いについては、4日付の事務連絡で自治体と医療機関に周知したことがあわせて報告されました(左下の画像から8月4日付事務連絡、右下の画像から6月27日付事務連絡をダウンロードできます)。

このほか、福岡大臣は、医療機関が暫定的な取扱いに対応することは「医療期間の義務ではないが窓口での混乱を回避する観点から対応をお願いしている」などと述べました。

8月4日付事務連絡「後期高齢者に係る資格確認書の暫定運用におけるマイナ保険証等の取扱いについて」

(参考)6月27日付事務連絡「健康保険証の有効期限切れに伴う暫定的な取扱いに関する疑義解釈資料の送付について」

保団連が暫定的な取扱いに関して質問

保団連は記者会見に参加し、暫定的な取扱いについて3点質問しました。質問に対する厚労大臣の回答は以下の通りです。

① 有効期限切れ保険証が提示された場合でも2026年3月まで使用できる暫定的な取扱いは国保だけでなく、後期高齢者医療保険制度も対象にしないのか
 後期高齢者の方々については、マイナ保険証の保有状況にかかわらず一律に交付されている資格確認書により、医療機関等を受診できるが、仮に資格確認書に気づかずに有効期限が切れた健康保険証を引き続き持参された場合に、市町村国保の加入者と同様、全額自己負担ではなく、一定の負担割合で医療機関等を受診できる旨を、昨日、自治体や医療機関等に対して示した
①´後期高齢も2026年3月まで保険証が使えるのか
 おっしゃる通り
② 暫定的な取扱いへの医療機関の対応は義務か、それとも任意のお願いか
 医療機関の義務ではないが、医療機関の窓口に行ったが受診できないといった混乱を回避する観点から対応をお願いしている
③ 暫定的な取扱いに対応したものの、転居・転職・保険料未納等による資格喪失等で保険請求の返戻、未収や一部負担金の過不足が生じた場合の責任は国が負うべきではないか
 暫定的な取扱いは、オンライン資格確認システムで保険給付を受ける資格を確認した上で行うこととしているため、ご指摘があったような資格喪失による保険請求の返戻等の事態は想定されない

国保・後期高齢は26年3月末まで保険証で受診可

6月27日に示された暫定的な取扱いは国保加入者を対象としていましたが、取扱いの趣旨からしても、7月末で保険証の有効期限が切れる後期高齢者医療制度に適用されないのは不合理でした。今回の事務連絡により、2025年12月1日に保険証の有効期限を迎える社会保険の加入者をのぞき、2026年3月末まで保険証で受診できます。また、後期高齢では、厚労省が自治体窓口の混乱を回避するためにマイナ保険証の有無にかかわらず資格確認書を1年間限定で交付する対応をとっています。本来は、すべての被保険者に対し保険証を使い続けられるようにすれば何も問題ありません。

医療機関側の対応は義務でなく任意

他にも、暫定的な取扱いに対する医療機関の対応は「義務ではない」ことが示されました。厚労省からの周知は不十分であり、医療機関が取扱いを知らず対応できない事例も想定されますが、あくまで対応は任意です。

暫定的な取扱いで資格喪失は「想定されない」?

仮に医療機関が対応できても、受け付けた保険証が資格喪失しているものだった場合、医療機関側には保険請求の返戻、未収や一部負担金の過不足などのリスクが生じる可能性があります。厚労大臣は、オンライン資格確認等システムを利用する仕組みのため、資格喪失である場合は想定されないとの見解を示しました。しかし、マイナトラブルが発生した際に不詳レセプトで請求したものの請求が返戻されたという報告が寄せられており、医療機関の不安は払拭されません。国が責任を持って対応すべきです。

福岡大臣会見概要

記者:
医療機関に有効期限切れ保険証が提示された場合でも、来年3月まで使用できる暫定措置について、3点お伺いします。この措置は、国保だけではなく、後期高齢者医療制度の方々も対象にしないかというのが1点。また、2点目に、暫定措置への医療機関の対応というのは義務なのか、それとも、あくまで任意のお願いなのかということが2点目。最後に、暫定措置に医療機関が対応したものの、転居・転籍・保険料未納等による資格喪失等で保険請求の返戻、未収、一部負担金の過不足が生じた場合の責任は国が負うべきではないかと思いますが、そのご見解はいかがでしょうか。

大臣:
後期高齢者の方々については、マイナ保険証の保有状況にかかわらず一律に交付されている資格確認書により、医療機関等を受診していただけますが、仮に資格確認書に気づかずに有効期限が切れた健康保険証を引き続き持参された場合に、市町村国保の加入者と同様、全額自己負担ではなく、一定の負担割合で医療機関等を受診いただける旨を、昨日、自治体や医療機関等に対してお示しさせていただいたところです。また、有効期限が切れた後も、従来の保険証を持参するなどして医療機関等を受診した患者さんに対する暫定的な取扱いについては、医療機関の義務ではありませんが、医療機関の窓口に行ったが受診できないといった混乱を回避する観点から対応をお願いさせていただいているものです。この暫定的な取扱いについては、オンライン資格確認システムで保険給付を受ける資格を確認した上で行うこととしているため、ご指摘があったような資格喪失による保険請求の返戻等の事態は想定されないものと考えています。8月に入って、既に保険証の切り替えが行われている中で、患者さんが不利益を被ることがなく、従来どおりの保険診療が受けられるように、引き続き医療機関等に対して周知を行ってまいりたいと考えています。

記者:
念のための確認ですが、後期高齢の75歳以上の高齢者の方々も、来年3月までは、保険証を使えるのでしょうか。

大臣:
おっしゃるとおりです。