
保団連は、8月15日の記者会見で生活保護費引き下げは違法とされた最高裁判決への対応について質問しました。
保団連は、「最高裁判決では、物価変動率のみを直接の指標としてデフレ調整を実施し、保護費を一律4.78%減額した行政処分を取り消した。長年、被保護者に不利益となる行政処分を放置してきた責任は重大。行政処分に瑕疵があったことを認めるのであれば、そのことをもってまずは原告に謝罪すべきとではないか」と質問しました。
「デフレ調整に係る判断の過程及び手続に過誤、欠落があった」ことは真摯に反省
これに対して、福岡厚労大臣は、「平成25年から実施した生活扶助基準改定に関して、最高裁判決において、「物価変動率のみを直接の指標として用いたことに、専門的知見に基づいた十分な説明がされているということはできない」として、「デフレ調整に係る判断の過程及び手続に過誤、欠落があった」と指摘されたことについて、生活保護行政を所管する厚生労働省として真摯に反省し、その上で、判決の趣旨及び内容を踏まえた今後の対応の在り方について、専門家にご審議いただく場として、生活保護基準部会の下に専門委員会を設置した」「この専門委員会において、原告関係者の方々からのご意見を伺うこととしており、厚生労働省としては、専門委員会における議論を踏まえ、適切に対応してまいりたい」と述べました。
原告関係者から意見を聞き速やかに結論を得たい
最高裁判決への対応を協議する専門委員会は8月13日に第1回目の会合を開催している。福岡大臣は、「8月下旬以降、複数回開催し、この中で原告関係者からのご意見を伺った上で、できるだけ速やかに専門委員会としての結論をいただように進めていきたい」と述べました。
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福岡大臣会見概要 |令和7年8月15日|大臣記者会見|厚生労働省
- 保団連
- 生活保護費引き下げは違法とされた最高裁判決についてお伺いします。最高裁判決では、物価変動率のみを直接の指標としてデフレ調整を実施し、保護費を一律4.78%減額した行政処分を取り消しました。長年、被保護者に不利益となる行政処分を放置してきた責任は重大と考えます。行政処分に瑕疵があったことを認めるのであれば、そのことだけをもっても、まずは原告に謝罪すべきではないでしょうか。最高裁判決で国家賠償が認められなかったことから、厚生労働省は「謝罪に後ろ向き」という報道がございますが、例えば、高額療養費の限度額引き上げをめぐる行政対応の不手際など、国家賠償に至らない事案でも謝罪は行われています。行政として瑕疵があったことは率直に認めて誠意を示すことが、最高裁判決に真摯に向き合う態度ではないでしょうか。
- 厚労大臣
- 先ほどのお答えとも重複する部分がありますが、平成25年から実施した生活扶助基準改定に関して、最高裁判決において、「物価変動率のみを直接の指標として用いたことに、専門的知見に基づいた十分な説明がされているということはできない」として、「デフレ調整に係る判断の過程及び手続に過誤、欠落があった」と指摘されたことについて、生活保護行政を所管する厚生労働省として真摯に反省し、その上で、判決の趣旨及び内容を踏まえた今後の対応の在り方について、専門家にご審議いただく場として、生活保護基準部会の下に専門委員会を設置したところです。この専門委員会において、原告関係者の方々からのご意見を伺うこととしており、厚生労働省としては、専門委員会における議論を踏まえ、適切に対応してまいりたいと存じます。
- 保団連
- 原告にご意見を伺った上で誠意というか謝罪、お詫びとかいろいろなやり方があると思うんですけど、そういう誠意を、行政のトップとして表明する意思はございますでしょうか。
- 厚労大臣
- 先ほど申し上げました専門委員会においては、原告関係者からのご意見をしっかり承りたいと思います。その上で、この専門委員会におけるご議論がこれからまた行われるわけですから、それを踏まえて、厚生労働省としての対応を早急に進めてまいりたいと存じます。