OTC類似薬保険除外 医療保険部会で本格議論開始

2025年10月18日

OTC類似薬の保険適用の見直しについて自民、公明、維新3党による政策合意が反映された骨太方針2025(6月17日)には、「2025 年末までの予算編成過程で十分な検討を行い、早期に実現が可能なものについて、2026 年度から実行する」と明記されています。10月16日の社保審医療保険部会では、OTC類似薬の保険適用の見直しについて本格的な論議が開始されました。

 

厚労省は、「骨太の方針2025や公党間の合意において、医療機関における必要な受診を確保し、こどもや慢性疾患を抱えている方、低所得の方の患者負担などに配慮しつつ、成分や用量がOTC医薬品と同等のOTC類似薬をはじめとするOTC類似薬一般について保険給付のあり方を見直すとされていることを踏まえて、その保険給付の在り方をどのように考えるか」との論点を提示。診療側からは慎重意見が支払側からは推進の意見が出されました。

健保連 「スモールリスクはセルフメディケーションで対応すべき」

健康保険組合連合会の佐野氏は、「個人で対応できないリスクをカバーするのが社会保険の役割。大きなリスクを見直す前に小さなリスクを見直すべき。子どもや慢性疾患を抱える方、低所得者に配慮しつつ、できるだけ広い範囲を対象に自己負担を求める、あるいは保険除外する方法を検討する必要がある。その際は必要な時にOTC薬を購入できる環境整備の推進を一体的に取り組むべき」と発言。経団連の横本氏も見直しを進めるべきとしました。

全国知事会 「患者団体と協議必要」

連合 「慎重な検討を」

全国知事会の佐藤氏は「保険除外による過度な負担や急激な変化が生じないよう、患者団体などと協議が必要」、連合の林氏は「OTC類似薬については慎重な検討が必要だ。配慮すべき対象者や過剰摂取などのリスクもあるため、患者による適正使用をまず進めるべきだ」と慎重検討を求めました。

老人クラブ連合会「保険外しは行うべきではない」

全国老人クラブ連合会の兼子氏は、「医師の診察を受けずに薬を求めるとなれば、患者自身が窓口に行かず薬を買うようになるだろう。健康上、薬の効果がどうなのかのチェックが働かないのは問題だ。保険外しは行うべきではない」と反対を表明した。

日本医師会 「保険除外に明確に反対」

日本医師会の城守氏は必要かつ適切な医療は保険給付範囲で行うべきと述べ以下の理由から保険除外に明確に反対しました。

▽自己判断、自己責任で服用では用量・期間、飲み合わせ、相互作用、禁忌を患者自身で判断しなければならない▽最初は軽症でも重篤な疾患が隠れていたりする(マスキング)▽早期発見、早期治療に悪影響を及ぼす▽市販薬は10倍以上の価格になる経済的な問題。▽難病、生活保護、障害者、子ども医療などで全額自己負担になれば負担は重い▽へき地で薬局がない場合は薬が手元に届かないなどアクセスの問題▽国民のヘルスリテラシーの向上には相当の期間がかかる▽OTC薬を使った健康被害への影響が大きいと指摘しました。

日本薬剤師会の渡邊氏は「OTC類似薬の保険外しの議論は対象が明確でない中での議論だ。配慮は当然として、保険給付範囲での検討とOTC薬の活用は別の話だ。市販薬は基本的に配合剤であり、包装単位も決まっている。流通経路が安定的に確保されているわけではない。これらの課題を踏まえて医療保険の枠組みの中で議論していく必要がある」と発言しました。