10月22日に開催された第5回高額療養費制度の在り方に関する専門委員会では、年齢にかかわらない負担能力に応じた負担という全世代型社会保障の考え方に基づき、70歳以上の高齢者に対する外来特例について議論されました。厚労省は、外来特例を主に利用する国保や後期高齢の高額療養費に該当する主な疾患などを示しました。一方で外来特例の上限引き上げに伴う高齢者の家計・療養への影響、家族への影響に関する資料は示されていません。
癌、認知症、腎不全などで年7回以上利用
主に高齢者が加入する国民健康保険、後期高齢者医療保険制度の加入者で年7回以上の利用者は腎不全、乳ガン、肺がん、アルツハイマー病(認知症)、糖尿病、脳梗塞など重い病気で入通院していることがわかりました。
本人だけでなく家族・現役世代の負担増は不可避
外来特例の上限引き上げによる影響は年金収入のみで生活・療養を強いられる高齢者の年単位での医療費負担増となり、治療中断、状態悪化は避けられません。乳がん、肺がんなどのがん治療では外来通院での抗がん剤治療に大きな影響が出ます。また、アルツハイマー病での入院療養されている高齢者も多く、入院加療が続けられなくなると、本人だけでなく家族にも負担がのしかかります。介護離職や医療費・介護利用料の支出増で「現役世代の負担軽減」とは真逆の結果になることは明らかです。
経団連は高額療養費の見直しを求める
経団連の委員は自維連立合意書「現役世代の保険料負担軽減」を盾に高額療養費制度の見直しを主張しました。一方で日本難病疾病団体協議会の委員は「高齢者は加齢に伴い疾患の数が増え医療機関にかかる回数が増えるため、現役世代と同じ制度では難しい。一定の所得がある方に給付面の負担を強いることは制度への納得性を損なう。私も発病した途端に働けなくなった。給付面の応能負担には何らかの配慮が必要だ。」と発言しました。



